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認知症の予後はどうやって予測するか

認知症の方の予後予測の困難さ
一昨日(
H27.12.18)96歳の男性患者さんがお亡くなりになりました。グループホームに入所中の方で、数か月前までは独居で生活されていた方です。私がこの方に関わり始めたのは、開業前の勤務地であったチヨダクリニックからで、約10年になります。
当初は、諸検査の結果、アルツハイマー型認知症と臨床診断しておりました。慢性心房細動もあり、ワーファリンコントロール中(PT-INRは至適に保持されていました)でした。ご家族が、旧瀬戸町から週1回見守りに行かれ、ホームヘルパーさんも定期的に入り、これといったBPSD もなく、平和に暮らされていました。
しかしながら、超高齢で、独居での生活は夜間や一人でいるときの急変が予想され、ご家族もグループホームへの入所を考え約4か月前にグループホームに入所されました。月に2回訪問診療を実施しておりましたが、当初は環境の変化で施設内の徘徊行動や不安定な心理状態を示しましたが、次第に施設にも慣れていたところでした。両下肢の浮腫など慢性心不全を考慮する状態ではありましたが、それなりに施設スタッフの工夫で平和に日々を過ごされていました。お亡くなりになる当日も普通に昼食を済ませ、入浴もしました。入浴後呼吸が微弱となりスタッフがただちに気道確保の体位をとりましたが、そのまま心肺停止状態となり午後4時過ぎにお亡くなりになりました。私も、全くこの方が急に死に至る状態であることを認識しておらず、関わった当院のスタッフも皆で驚いたものでした。ご家族には以前から超高齢でもあり急変もありうることはお話ししておりましたが、こんなに突然やってくるとは誰も予測できませんでした。

以前は、認知症患者さんの予後は平均4.5年程度という報告がありましたが、これは診断時の年齢によって大きく異なり、60代であれば10年以上と判定するのが現在は一般的です。

認知症患者さんの生命予後(アルツハイマー型認知症の方に限ってですが)に関しては概ね6か月未満かどうかを確認する指標が出ています。FAST分類での7c以降、すなわち、一人で移動ができず、意味のある会話ができず、ADLはほぼ全依存、尿便失禁の状態が認知症患者さんの末期と考えられています。

しかしながら認知症の方は高齢者が多く他の身体的疾患を持っており、癌の終末期とちがって、一概に予後を判定することは困難であることをこの症例から教えられた思いです。