第119回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和6年10月4日(金);午後7時~8時30分

  <挨 拶>
   開会挨拶;八幡浜医師会会長  芝田 宗生 医師
  <発表者>
   座 長;旭町内科クリニック  森岡 明 医師

  【事例1】60歳代(女性) 左乳癌末期 統合失調症

  ① 全体像の説明
    八幡浜医師会居宅介護支援事業所
        清水 建哉 コーディネーター
  ② 症例報告
    旭町内科クリニック
       森岡 明 医師
  ③ 障がいサービスの説明
    くじら地域活動支援センター
       河野 祐樹 相談員
  ④ 八幡浜医師会訪問看護ステーションの関わりの説明
       清水 建哉 コーディネーター

  【事例 2】40歳代(男性)直腸癌

  ① 病状説明
    市立八幡浜総合病院外科
       梅野 紘希 医師
       菊池 和美 看護師
  ② 支援経過と関係者の説明
    八幡浜医師会居宅介護支援事業所
       清水 建哉 コーディネーター
  ③ 訪問看護ステーションからの報告
    訪問看護ステーションいまいスマイル
       松本 千恵子 看護師

<症 例>
報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください
第119回八幡浜在宅緩和ケア症例検討会資料

<議論の要点とコメント>

●意思決定についてのかかわり方と支援の在り方について

<職種別参加者数>

合計  79名
医師 11名 社会福祉士 5名
歯科医師 2名 ケアマネ 11名
保健師 5名 介護 3名
薬剤師 4名 その他 9名
看護師 25名 事務 3名
心理士 1名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 福祉用具専門相談員
     ベストインタレストの判断において、自分の関わる利用者の生活環境や経済的な面が優先されていると感じました。関わる側の自己満足になっていないかを再度、自身に問いかけながら、またご本人、ご家族のための支援を行うことができているかを考えながら、関わりをもっていこうと思います。
  2. 看護師
     症例②において、病院での入院生活、在宅での療養生活の本人の言動、行動が違っているのではないかと思いました。入院生活は必ず看護師、ドクター、助手、栄養士、薬剤師が毎日関わることで本人も安心できていたのだと思いました。在宅では、家族が不在になると不安が強くなり、頻回の救急車依頼、訪看へ連絡することで不安を紛らわしていたのではないかと思いました。在宅療養において、往診ができれば本人も安心できると思いますが、経済的理由があるなら、サービス利用(人と関わるサービス)をすることも検討していかないといけないと思いました。そのようなサービス(人と関わるサービス)が市内にあるなら取り入れたらいいなと思います。
  3. 看護師
     今回の事例に限らず、その人の思いを汲むことの難しさを感じています。ともすればこちら本意になり、一方的に本人の思いを無視した道を作ってしまいそうです。ベストインタレストという言葉を初めて知りましたが、このようなことを気にしながら考えていきたいと思いました。
  4. 薬剤師
     症例を通して様々な機関、職種の方が関わっていることを知り、とても勉強になりました。患者様に関わる時の参考にさせていただきたいと思います。
  5. 保健師
     対象者のことを知る、理解することの大切さを改めて感じました。支援者本位にならないよう対象者に教えてもらう姿勢で関わりたいと思います。また障がい者へのがん検診の普及啓発も続ける必要があると痛感しました。
  6. 社会福祉士
     事例を通して、本人の意向を把握するのが難しいと話がありましたが、丁度この症例検討会の午前中に「もしバナゲーム」というものをしました。余命半年と仮定し、その時に大切にしたい「価値観」を選んでいくレクリエーションカードゲームで、在宅緩和ケアの医師が開発したものらしいです。この事例の方にも活用できるかどうかはわかりませんが、自分の気持ちを言葉に表現するのは難しい方でも、カードを選んでいくことである程度その方の意向を知ることができるかもしれません。
  7. 介護支援専門員
     今回は精神疾患ということでしたが、認知症の方や自分の気持ちを表現するのが難しい方など、どのような方にも通じると思いました。利用者のケアプランを作るときは1~2回の面接で聞き取り作成しますが、その方が何を思い、どう生きてこられたのか、どう考えて決断されたのか、ということは数回会っただけではわかるものではなく、ベストインタレストのためには、時間をかけて聞き取ることが大切だと感じました。これからに生かしていきたいと思います。
  8. 作業療法士
     対象者様の心理状態によって、どのようなアプローチや声かけが必要なのか。また、関わりの中で身体的な部分だけではなく、対象者様や家族様を取り巻く環境や、思いを感じ取りながら寄り添えることが大切だと感じました。
  9. 看護師
      医療者側は異常な言動、行動等にいち早く気付き、専門の医療機関に繋ぐこと、担当のケアマネに報告し、必要な社会資源を取り入れることの大切さを学びました。
  10. 相談支援専門員
     相談支援専門員として、どう医療と連携していけばよいか学ぶ機会になりました。そして、相談支援専門員について周知しきれていないことも反省しました。きちんと伝えていかなければならないと感じました。
     事例1の方については、相談支援専門員がどのように関わったのか、連携しているのかについてお聞きしたかったです。今後、自分たちの関わりの参考になればと思いました。
  11. ケアマネ
     今回の症例検討会では、「ベストインタレスト」という言葉が印象的でした。私たちが良かれと思っていることは、果たして本当に御本人の「ベストインタレスト」なのか、改めて考えさせられました。御本人の最善の利益は何かを見い出すことは容易ではないが、関わる専門職が、御本人の人となりを理解し、尊重する姿勢を保てば、御本人にとっての「ベストインタレスト」は何かに近づくことができるのかもしれません。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006