第二十四回 八幡浜在宅医療研究会講演会を開催しました


 2024年5月に厚生労働省の研究班が今後の認知症と軽度認知障害(MCI)の患者数の推計結果を公表しました。それによると、2022年時点で認知症を患っている人の数は約443万人。認知症予備軍とされるMCIの患者数が約558万人と推計されました。
 今後1人暮らしの認知症の人が増えるとみられ、家族の支援が限られる中、地域でどう支えるかが課題となっています。このような情勢を反映して、各地で認知症カフェの取り組みがなされるようになり、八幡浜市でも地域包括支援センターやボランティアの方がたのご努力で定期的に開催されています。
 認知症カフェは、元々オランダのアルツハイマーカフェが発祥で、日本では2015年に「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の一環として導入されました。オレンジプランは、認知症の当事者が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を目指すものです。その名称から認知症カフェは「オレンジカフェ」とも呼ばれています。認知症カフェは、認知症について知りたい人、認知症になったらという不安を抱えている人、レクリエーションではなく純粋に会話を楽しみたい人など、さまざまな人が集まる場として機能しています。
 このような時代を背景に、今回福岡県久留米市で、認知症についてユニークな活動に取り組んでおられる横道正克氏をお招きして認知症カフェの取り組みなどについての講演会を企画しました。

  1. 日 時:
    令和7年5月9日(金)18:30~20:00
  2. 場 所:
    市立八幡浜総合病院 別館2階会議室
  3. テーマ:
    新時代の緩和ケアとしての「認知症ケア」
    ―住民型認知症カフェの毎日8年間の実践から学ぶー
  4. 講師:
    (一社)久留米健康くらぶ
    相談役(前理事長) 横道 正克先生

講演スライドについては、以下PDFファイルをダウンロードしてご参照ください
第24回八幡浜市在宅医療研究会講演会 市立八幡浜総合病院 別館2階会議室
テーマ :新時代の緩和ケアとしての「認知症ケア」
     ―住民型認知症カフェの毎日8年間の実践から学ぶー(PDF)
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    第24回八幡浜在宅医療研究会講演会を終えて

    (一社)久留米健康くらぶ
    相談役 横道 正克

     この度は、貴団体の貴重な講演会にお招き頂き、誠に感謝しています。
    ボランティア事業15年!認知症カフェ10年!の節目の意義ある講演会になりました。お陰様でこの5年前後は年間の講演回数は10数回になり、福岡県や久留米市、昨年は企業の社員研修会や久留米市の歯科医師会の地域連携室でも機会を頂きましたが、大半は地域のコミュ二ティーセンターでした。 
     一昨年10月に小冊子「早期発見で認知症は改善できる」を発刊して、特に認知症で困っている一般市民や介護家族だけではなく、様々な団体等にも拡がってきており、この度のように医師会の専門家の方々にも、認知症の早期発見が遅い!事そしてその対策として、住民型認知症カフェが地域になくてはならない取組である事を伝える事が出来ました。
     しかも終わってからの主要メンバーとの意見交換や多職種の感想文を見させて頂き、この10年の住民型認知症カフェの取組や今後の「まちなかものわすれ相談室」活動に肯定的かつ理解ご賛同を頂いた事を嬉しく思います。
     八幡浜市は、人口3万人ですが在宅医療研究会等で1つ1つの課題に真摯に取組、地域密着の活動が着実に浸透し、多職種の専門家の方々の意識も高い事を教えられました。久留米方式の住民型認知症カフェを核に市民と多職種の専門家が包括的相互連携を展開していくことで、将来のモデル市になっていくポテンシャルが顕在化していると考えています。
     是非、市民を巻き込んで医師会を始め専門家の方々が、大同団結して様々な課題を解決し、高齢化率が高いながら将来の「医療費・介護費が限りなく少ない八幡浜市」、「認知症になっても安全安心な八幡浜市」の実現を目指して、共に取組んでいければ幸いです。又お会いできることを楽しみにしています。
     最後に森岡先生始め皆様のご健勝、八幡浜市の更なる発展を祈念しています。

<職種別参加者数>

合計  70名
医師 5名 社会福祉士 4名
歯科医師 2名 ケアマネ 12名
保健師 5名 介護 3名
薬剤師 2名 その他 2名
看護師 33名 事務 2名
心理士 0名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. ケアマネ
     小冊子の題である「認知症は改善できる」という言葉を聞いて、キャッチーで誰でも入り込みやすいフレーズだと思いました。専門職としては、「BPSDが改善できる」と謡わないと誤解が生じるのではないかと考えますが、それができるのがインフォーマルサービスの強みであり、誰でも巻き込める力があるのではないかと感じました。
     地域の資源として、“認知症カフェ”という括りでありますが、認知症の人や介護者が抱える様々な問題を解決するのに、他の資源と繋がって困り事に向っていくことができ、新しい資源を生む可能性は地域の中で重要なことであると思います。
     八幡浜の中での課題(認知症やそれ以外にも)の掘り起こしをして、新たな資源を作っていきたいと、この研修を受けて改めて実感しました。
  2. 保健師
     色々企画されており熱意を感じました。想いを形にすることは大変なこともありますが、住民の方と心を通じさせる喜びがあると感じました。認知症カフェが南島原市(8町あります)は1カ所だけです。今後1カ所ずつ増やしていければと思います。
  3. ケアマネ
     私たちが関わる頃は認知症の入り口、またはどんどん進行している頃です。家族と本人の関係性によっても進行は異なったり、生活の質は変わっているように感じます。
     認知症カフェを利用する頃でも同じ事が言えると思います。本人と家族の関係性によって「参加できる、参加しない」のではないかと思います。家族が近くに居なければカフェに参加することもできないですし、本人の様子もわからないでしょう。居宅で関わる前に地域住民の一人として地域の活動を知り参加していきたいと思います。
  4. 看護師
     医療、介護、看護、行政が連携し、地域ぐるみで取り込み、早期発見、進行改善していく必要性を再認識しました。
  5. 社会福祉士
     マンパワーの大切さを改めて感じました。
     先生の熱意や取組み、周りを巻き込んで地域の中での大切なインフォーマルサービスになっていることを感じることができました。
  6. 保健師
     サロンと介護保険の中間機関、とても良いなと思いました。進行予防の視点で利用者が受け入れやすく参加してみたくなる工夫、仕掛けが必要だと思いました。
  7. 保健師
     認知症カフェを住民がやるとういう意義について、とても考えさせられました。
  8. 介護福祉士
     サロンの方が高齢になられていると聞きます。そのため別のサロンができたら良いと思います。私は82才ですが、仕事することで元気でいられると仕事場に感謝しているところです。
  9. 介護士
     認知症カフェは必要だと思いました。
  10. ケアマネ
     これからのケアに対して認知症への対応の仕方の勉強になりました。
  11. 看護師
     認知症予防カフェの必要性は理解できました。身近にあれば良いと強く思います。MCIの状態の時は、必ず遅らせることはできると思いますが、デイサービスに行くようになったり、施設に入所すると必ず進行してしまいます。施設でカフェのような対応ができれば良いなと思いますが現状はとても難しい状況です。できれば楽しい場所になるように対応していきたいと思いました。
  12. ケアマネ
     グループホームでケアマネをしています。入所される利用者は独居が多く、他人とコミュニケーションがとれない状態と感じられます。より多くの人に認知症カフェを広めてほしいと思います。
  13. 看護師
     家族で認知の心配な方がおり、今後のことについて深く考えることができました。
  14. 看護師
     認知症の発見、早期対応の必要性は理解できるも、その対策に対して自分ができることがよくわかりませんでした。事例を通じて日々の看護の中での気付きを本人、家族様との関わりに行かせていきたいと思います。
  15. 看護師
    自分の住んでいる地域で、どのような活動をしているのか、知らないことが多くありました。気付くことができました。
  16. 看護師
     入院された方で家族は認知症はないと言われていますが、関わると認知症があると思う患者が少なくないです。そのような方に勧めていけたらいいと思いました。
  17. 看護師
     認知症カフェの活動を知ることができました。改善事例を聞き、早期対応の重要性を感じました。
  18. 看護師
     良い影響があることはよくわかりました。カフェの1日の流れなど内容を知りたいと思いました。
  19. 看護師
     病棟でも、高齢認知症患者は多いです。離床を兼ねて患者様同士でお話をしてもらうことはありますが、ご家族も含めて悩みや相談ができるカフェがあれば患者、家族とも心のよりどころになるだろうと感じました。
  20. 看護師
     高齢比率の高い地域であり、入院患者の大部分の方に認知機能に問題があると感じています。独居、高齢夫婦世帯も多いので、このような施設が増えると良いと思っています。
  21. ケアマネ
     認知症に対する偏見をなくすためには、住民を巻き込むことが一番だと改めて思いました。八幡浜市の認知症カフェがもっと市民の身近に感じるカフェになって、発展して久留米市のような取り組みができるようになるといいと思います。
  22. 薬剤師
     認知症の薬物治療にも新しいもの、非薬物療法で支える方法、そして地域社会づくりにおける認知症に対する取組等、新たな視点で捉えるきっかけになり大変勉強になりました。
  23. 看護師
     八幡浜市にも認知症カフェはあるのでしょうか。あるならば情報が伝わってないと思います。地域に1カ所でもカフェができ気軽に相談できる場があれば良いと思います。
  24. 医師
     八幡浜の認知症カフェを活発にどうしたらできるのか、ヒントをもらえてとてもよかったです。
  25. 介護支援専門員
     このように頻回に参加しやすい認知症カフェがある久留米市は素敵な町だと思いました。
  26. 看護師
     日々認知症の患者様と関わっており、家族様の悩み等を聞き、少しでも心が軽くなるよう寄り添いお話させて頂いています。自身も認知症の義両親を最後まで関わり看取りましたが、「これで良かったのか」と葛藤したこともありました。自身も心が壊れそうになったこともありましたが、これから経験を生かして皆様のため頑張っていこうと思います。
  27. ケアマネ
     令和6年4月から認知症基本法が施行され、認知症が身近なものとなり認知症の取り組みが重要視されるようになりました。その取り組みの一つが認知症カフェですが、「住民型」であることの重要性を改めて感じました。その後押しができること、そしてその仲間が増えるように私たち専門職が認知症についての理解や偏見をなくすことから始めていかないといけないと強く感じました。
  28. 看護師
     認知症カフェにおいて「子どもから高齢者の心身の健康づくり」という理念に深い感銘を受けたと共に、「絶望」から「希望」に繋がるための場所だ、という意識を持ち、日々の業務にあたりたいと思いました。
     私が従事している市は現在、4万人弱の人口で、2045年には2.4万人まで減少すると見込まれています。また、市の高齢者率は40%を超えています。地域の高齢者の方々が、住み慣れた本市で安心して暮らしていけるように、自分自身ができること、取り組むべきことを模索していきたいと強く思いました。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006