高市早苗政権の日本国憲法改悪論議を憂う、市井の医療者として
憲法第9条の果たしてきた役割は大きいことを再確認すべき
高市早苗政権のもとで進められている日本国憲法改正(改悪)は、「時代に合わせた見直し」という言葉で正当化されていますが、その実態は日本の進路を大きく誤らせる危険な政策であると言わざるを得ません。
特に深刻なのは、この改憲がアメリカ合衆国の軍事戦略への従属を一層強める方向に働く点であります。これまで日本は、平和主義を掲げることで国際社会における独自の立場を築いてきました。しかし、憲法の制約を緩め、9条を改悪し自衛隊の活動範囲を拡大すれば、日本はアメリカの軍事行動に事実上組み込まれ、主体的な判断力を失っていくことになります。
とりわけ懸念されるのが、現在進行中のアメリカ合衆国、イスラエルのイラン侵略のような中東情勢への関与です。将来、改憲によって拡大された権限のもとで、日本がその戦争に巻き込まれる(すでに横須賀を母校とする空母が中東に派遣されている)可能性は否定できません。というより巻き込まれるのは必至でしょう。それは日本の安全を守るどころか、むしろ国民を危険な戦争の当事者へと引きずり込む結果になりかねません。
さらに問題なのは、このような重大な転換が、十分な国民的合意を欠いたまま進められていることです。憲法は権力を縛るためのものであり、権力者の都合で容易に変えられるべきものではありません。
日本国憲法前文には「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、・・・これに反する一切の憲法、法令及び詔勅(しょうちょく)を排除する。」とあります。
にもかかわらず、「安全保障」の名のもとで権限拡大が既成事実化されつつある現状は、立憲主義そのものを形骸化させる危険性を孕んでいます。
日本が進むべき道は、軍事力に依存した同盟強化ではなく、外交と対話による平和の構築です。日本国憲法が掲げてきた理念は、決して時代遅れではありません。それを手放すことは、日本の強みを自ら捨て去ることに等しいと考えます。
いま問われているのは、「改憲か否か」ではなく、「どのような国を目指すのか」という根本的な選択であります。拙速で危うい改憲(改悪)によって、日本が戦争に近づく道を選ぶのか、それとも平和国家としての歩みを守り抜くのか。その判断は、私たち一人ひとりに委ねられているのではないでしょうか。
