口腔崩壊錠は経管カテーテルをつまらせるか?
69歳男性、40歳代で脳梗塞発症。一定の社会復帰をしましたが、60歳前半になって寝たきりとなり訪問診療中の患者さんです。 嚥下障害のため、NG(経鼻経管)チューブを定期的に交換していましたが、NGチューブが挿入困難となり平成26年4月胃ろう(PEG)造設しました。
PEGタイプは、オリンパス社製の「イディアルボタン」バンパータイプです。9月にPEGカテーテル交換の予定でしたが、当院きわめて多忙でのびのびになっていました。この10月に入って、PEGから栄養剤が落下しないとの連絡を訪問看護ステーションからいただきました。 なんとか、注射器で圧をかければ注入できるものの奥さんの介護負担が一気に増大しました。急きょ時間をとって外来に来てもらい、PEGカテーテルを交換。交換時、ガイドワイヤーが挿入できないほどにカテーテルの胃内側出口が石のように固まった物質でおおわれていました。
奥さんのおっしゃるには、これまで胃薬の「ランソプラゾールOD(口腔内崩壊錠)錠」を注射器で注入するときいつも抵抗があったとのことでした。
OD錠はもともと水なしで唾液で溶けてそのまま飲める剤形です。したがって、製剤上の添加物がきわめて多く、口腔内の崩壊条件に合ったように作られています。ところが、経管から注入しようとすると、ふつうは水で溶かし注入することになります。口腔内で崩壊させる条件とはまったく異質な投与経路となり、悪条件が重なってPEGカテーテルを通過する際固まったと思われました。
いろいろと文献を調べてみましたがそのような報告例は皆無で今後の検討課題ですが、可能なら経管栄養の方に口腔崩壊錠(OD錠)は使わないようにした方がいいのではないかと考えられました。 みなさんのなかに、同様の経験のおありの方がおられましたらお知らせ下さい。