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認知症
認知症:dementia

 認知症は「一度正常に発達した知的機能が後天的に脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態」をいう。
2015年のデータでは日本の高齢化率は26.7%1)2)。で、多くの疫学データで、認知症は65歳以上では8~15%、75歳以上では20%に及び、日常診療におけるcommon diseaseの1つである。
 定期的に外来通院を行う高齢者はもちろん、他の健康問題で来院した高齢者においてもチャンスをみて認知症スクリーニング検査を考慮したい。
 限られた外来診療時に簡便に実施する方法として、3item recallテスト及びclock drawingテストを組み合わせたMini-Cog2)3)がある。 

ステップ1 患者に「関連のない3つの単語」を記憶するように指示する。正しく覚えられたかを確認するために復唱させる。下記の単語リストは臨床研究で有効が確認されている。
バナナ、夜明け、椅子
娘、天国、山
村、キッチン、赤ちゃん
川、国、指
船長、庭、絵
リーダー、季節、テーブル
ステップ2 患者に時計の文字盤を書くように指示する。文字盤の数字が記入されたら、次に11時10分(または8時20分)の針を書き込むように指示する。正しい回答「すべての数字がほぼ正しい位置にあり」かつ「針が11と2(または8と4)を指していること」。
記載は3分以内で、拒否は異常と判定。
ステップ3ステップ1の3単語を思い出させる 
判定陰性(障害は否定的)3単語想起可能1~2単語想起可能
+時計描画正常陰性
陽性(認知機能障害疑い)1~2単語想起+時計の描画が異常単語想起不可能(0単語)
施行時間2~4分

認知症高齢者は高い頻度で合併症をもつ。また認知機能障害の程度に関係なく死亡率が高いとも言われており、身体疾患の評価は重要である。
 以下に高度認知症から終末期の支援のポイントを整理した。

① ケア形態の変更:通所中心→訪問系サービス(訪問介護・訪問看護)
② 診療形態変更:外来→訪問診療、訪問看護(必須)
③ 合併症の管理・治療:感染症、転倒
④ 意思決定支援:意思決定者選定、療養の場、緩和ケア中心、延命治療の方針、家族の心のケア
⑤ 苦痛評価、症状緩和:呼吸苦、嚥下障害、褥瘡、発熱、痛み等
⑥ 具体的な延命治療の選択:経管栄養、点滴など、合併症の治療、感染症の治療 これら支援のポイントに示したように、認知症のステージを評価し、ステージに応じた多専門職協働での支援が必要であろう。

PDF「認知症の病型理解とステージアプローチ」
PDF「非がん緩和ケアとしての認知症ケア」

【参考文献】

1) 総務省統計局. 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)

2) Borson S et al.Int J Geriatr Psychiatr 15 : 1021-1027, 2000.

3) Borson S et al.J Am Greiatr Soc 51 : 1451-1454, 2003

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