第二十一回 八幡浜在宅医療研究会開催しました。

 少子高齢化が進んでいる八幡浜・伊方地区においては、医療介護の支援を行う際に、高齢者を支える様々な制度を適切に利用できるかどうかで提供できるサービスの質が全く変わってきます。
 高齢や認知症などで意思決定能力が低下した高齢者や身寄りのない高齢者を支援するにはどうすれば良いのか、今回は実際に現場で支援されている八幡浜市社会福祉協議会の三根生社会福祉士に講演して頂きました。
 事例をもとに具体的に、どのように支援したのか、どのような制度を利用したのか、その制度を利用するにはどこに相談すればよいのかなど、明日からの支援に生かせる講演でした。

  1. 日 時:
    令和6年2月2日(金)午後7時から8時30分
  2. 場 所:
    八幡浜市保健福祉総合センター4F
  3. テーマ:
    その人らしさを支える ~成年後見制度を通じて~
  4. 講 師:
    八幡浜市社会福祉協議会 地域福祉課 相談支援係 係長

    社会福祉士 精神保健福祉士 三根生 雅人

講演スライドについては、以下PDFファイルをダウンロードしてご参照ください。
第21回八幡浜市在宅医療研究会講演会
八幡浜市保健福祉総合センター 4階多目的ホール
その人らしさを支える ~成年後見制度を通じて~ (PDF)

<職種別参加者数>

合計  54名
医師 5名 社会福祉士 8名
歯科医師 1名 ケアマネ 12名
保健師 4名 介護 5名
薬剤師 3名 その他 2名
看護師 12名 事務 2名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 保健師
     無縁社会、多死社会の中で成年後見制度の限界を知り、また正しく制度を理解し、対象者の意思と選好に基づく最善の解釈を、本人を交えて支援チーム全員で支援することの大切さを学びました。
  2. ケママネ
     何となくしか理解できていなかった成年後見のことが少し理解できるようになりました。利用者と関わる中で、その人の気持ちが反映される支援を一緒に考えていきたいと思います。
  3. ケアマネ
     今回の講演では、「チームで行う意思決定支援」というフレーズが心に残りました。成年後見制度の利用が開始になっても専門職は、その利用者の意思決定をするのではなく、意思決定の「支援」をする立場であることを忘れずに、チームで情報共有していくことが大事だということを学ばせていただきました。
  4. 看護師
     「成年後見制度」言葉を聞いた事は何となくありましたが、詳細はよく知らなかったので、難しく感じながらも勉強させて頂きました。これから、ますます超高齢化社会が加速していく中、「成年後見制度」の事も理解を深めつつ、医療福祉関係の勉強もしていけたらと思っています。
  5. 薬剤師
     成年後見人ができることやできないことを理解していなかったので理解が深まりました。制度のことを誤解している点もあったので改めることができて良かったです。
  6. ケアマネ
     久々の対面での研修会で緊張感がありました。少しハードルが高いと思いましたが、具体的な話で身近に感じることができました。
  7. 保健師
     チームで意思決定支援をするというのが印象的でした。ますますACPの必要性を感じました。
  8. ケアマネ
     今回、成年後見制度について、八幡浜市の取り組み、国が今後検討している事の確認ができてとても勉強になりました。ケアマネとして、今まで成年後見人を活用されていた方もおられ、また任意後見人の手続きを勧めた方もいます。後見人によっても関わり方が違い、法人によっても対応が違う事を知ることができて良かったです。今後、複雑なケース、認知症の方への支援で活用していきたいです。後見人の変更がスムーズにでき、ご本人本位である制度に改善が促進して頂きたいと思います。
  9. 看護師
     以前(数年前)に成年後見制度の講演会を聴いたのですが、その時とは違う内容、方向性になっていて驚きました。意思決定支援の大切さを学びました。「意思決定」するのではなく「決定支援」を行う事の難しさを知りました。しかし、それをチームで一緒に考える(本人も含めて)ことが普通のことなのだと気づかされました。「意思と選好に基づく最善の解釈」の解釈のアセスメントの重要性を学びました。認知症サポーターがあるように障害者サポーターも包括的社会には必要だと思いました。
  10. 看護師
     言葉としてしか知らない内容でしたので制度や内容を知る機会になりました。あまり認知されていないのではないかとも感じました。本当に必要な制度なのか、いまひとつ理解は難しいです。
  11. 歯科医
     数年前に成年後見制度の申込に行きましたが複雑で断念したことがあります。難しい内容を分かりやすくご教授いただき感謝しております。
  12. 薬剤師
     成年後見制度という言葉は聞いたことがありますが、具体的な内容は知りませんでした。
     本人の意思を尊重し支援することが大事だとは思いますが、なかなか難しいことだと思いました。
  13. ケアマネ
     成年後見制度について、何となくわかっていたような気がしていましたが、今回の研修会でさらに深く理解でき良かったです。
  14. 看護師
     成年後見制度について一般的な知識レベルだったので、今回学習を深める機会を頂けたこと感謝します。
     在宅での生活を支える上で必要な制度だと思うので正しく理解し対象者の方が意思決定をし、望む生活が送れるよう支援に努めたいと感じました。
  15. 社会福祉士
     成年後見制度について実際に後見業務を行っている方の話を聞く機会が少なかったので大変勉強になりました。
     ・意思決定を行うのではなく意思決定支援を行う。
     ・後見人は意思決定支援を行うチームの一員で手続き業務を行う。
     自分自身の業務でも、被後見人でもありませんが、意思決定が容易ではない方が多くいるため、その方を「意思がある」としっかり捉え支援していこうと思います。
     医療、福祉の現場の声が聞けたのが大変よかったです。
  16. ケアマネ
     今回の講演で利用者さんの生活を支えるには多職種のチームの力が重要であることを改めて感じました。
     意思決定支援に関するガイドラインについての記載もありましたが、各分野において意思決定支援の根本は同じであり、各職種の共通認識をもとにチームみんなで利用者さんを支えていくという心強さも感じることができ、明日から頑張っていこうと思える講演でした。今春から私自身も後見業務を行っていく予定なので成年後見制度の理解を広げていく必要性を実感しました。
  17. ケアマネ
     意思決定支援を行うのは成年後見人のみが行うのではなく、支援者がチームとして行うことを学びました。成年後見制度を利用されている方はそれほどおられないかもしれません。そのためまだまだ理解のし辛さもあるかもしれません。今回の資料を大切にし、その人らしさを支えるためにこれからも学んでいきたいと思います。
  18. 医師
    日本の成年後見制度は、法律上、財産管理を中心に展開されており、その実務運用も裁判所や後見人目線による「保護」の姿勢に偏りがちです。しかし、イギリスの成年後見制度は、本人の生活全般(医療の場での自己決定も含む)に関わる各々の意思決定を行うにあたり、本人が自己の判断能力だけでは果たせない部分を、その部分に限り、周囲が関与することを法的に許容するという姿勢をとっています。その根幹をなすのが、「ベスト・インタレスト論」です。私たちが、アドバンス・ケア・プランニング (ACP)を進めて行く上で、「ベスト・インタレスト論」の考え方を実践に援用できると以前から考えています。
     管 富美枝著「イギリス成年後見制度にみる自立支援の法理 ベスト・インタレストを追求する社会へ」(ミネルヴァ書房)を「自己決定支援」としての成年後見を考える参考書として推薦します。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006