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「紫色尿バッグ症候群」について

バルンカテーテル留置中の方の「紫色の変色」について 
 在宅訪問診療中の患者さんです。長期バルンカテーテル留置中の方で、バルンカテーテルからウロガード内まで、すべて紫色に変色した方がいました。  
 ①何が原因で紫色に変色するのか。   
  ②対処方法は、どのようにすればよいのか。
文献的考察を投稿しました。 この現象を「紫色尿バッグ症候群」といいます。  
  ①膀胱留置カテーテル使用中にカテチューブから尿バッグまで紫色になります。   
尿路カテーテルを挿入している患者が、慢性便秘症と尿路感染(保菌を含む)を合併したときに起きます。    
病態機序は、まず、糞便中のトリプトファンが、便秘で増殖した腸内細菌に分解されてインドールになり、さらに体内でインジカンとなって尿中に排泄されます。このインジカンが尿中の種々の細菌(Providencia stuartii, Klebsiella pneumoniae, E.coli, Morganella morganii, Enterobacter aerogenes, Proteus mirabiis など)で分解され、インジゴ(青色)とインジルビン(赤色)が生じます。
この二つは水に溶けないので、インジゴとインジルビンの生成比に応じて、バッグとカテは赤と青の混じった色、すなわち紫色に染まります。  
②対策としては、   
1)留置カテの使用は最小限にする。やむなく留置したら、尿路感染予防を心がける。   
2)可能なら便秘を予防する。   
3)「紫色尿バッグ症候群」が起こったら、尿路感染が起こっていないか確認し、治療の適応について検討する。      
などがあげられるでしょう。      
在宅医療で今後も遭遇することが多いと思われます。