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「訪問診療」と「往診」ってどこが違うの?

「往診」と「訪問診療」の違いについて

先日、ある機関から在宅医療・介護サービスの充実を目指して、医療機関・介護サービス機関のマップを作成したい旨連絡をいただきました。

医療機関の情報の項目で「往診の有無」を記載する欄がありましたが、「訪問診療の有無」を記載する欄はなく、どうも「往診」と「訪問診療」を同一に考えられているように思われましたので、担当の方に電話で真意を問い合わせました。

「訪問診療」という言葉が、誰にも知られていないので「往診」という言葉を使用したとのことです。しかも、小学生でもわかる言葉にしないといけないのでとも言われました。

ならば、なおさらのこと二つの診療形態の違いを教育的にも理解してもらうことがこれからの超高齢社会を支える子供たちにも伝える必要があるのではと感じました。

大人の間違った理解の上で、「小学生でもわかる言葉」を使うというのはどうも私にとっては理解に苦しむところです。

「往診」と「訪問診療」の違いについて述べてみたいと思います。

どちらも医師に病状を診てもらう点では、変わりがないのですが、全く違った医療サービスです。

医療制度上の問題から高齢者の方々がこれまで療養的に利用されていた病院への入院が制約されてきている一方、ご自宅や有料老人ホーム、グループホームなどといった高齢者向けの施設で療養されることが年々、増えてきております。

そこで、本来、病院で受けられた医療サービスを高齢者の方々が療養、住まわれているところで提供させて頂くものが「在宅医療」といわれるもので、在宅医療を大別すると「訪問診療」と「往診」とに分けられます。
では、「訪問診療」と「往診」とでは、何が違うのでしょうか。

訪問診療とは、計画的な医療サービス(=診療)を行うことです。

月に2度の訪問診療を行うため、容態悪化の予防や施設にいながらの長期療養も可能になります。

毎週○曜日の○時にと約束して医師が訪問の上、診療します。1週間ないし2週間に1回の割合で定期的、且つ、計画的に訪問し、診療、治療、薬の処方、療養上の相談、指導等を行っていきます。

また、患者さまやご家族の方からご相談を受けた時点で、これまでの病歴、現在の病気、病状などを詳しく伺うとともに、関係医療機関などから情報収集を図ります。その上で、どのような治療を受けられたいか、ご家族の介護力や経済的な事情なども詳しく伺いながら、診療計画、訪問スケジュールをたてていきます。

尚、急変時には緊急訪問に伺ったり、入院の手配を行ったりするなど、臨機応変に対応することからも、「第一のかかりつけ医」として、多くの場合、24時間体制で在宅療養をサポートするのが、訪問診療の特色です。

往診とは困ったときの臨時の手段

一方、往診とは、通院できない患者さまの要請を受けて、医師がその都度、診療を行う事です。

現行の往診対応では状態悪化時の対応のみとなるためすぐに入院してしまうケースが多いです。

突発的な病状の変化に対して、救急車を呼ぶほどでもない場合など、普段からお世話になっているホームドクターにお願いして診察に来てもらうもので、基本的には困ったときの臨時の手段です。

当院では、外来通院中の患者さまで往診依頼があった時、電話で状態を確認し日勤帯であれば看護師がまず訪問し、急を要する状態であれば検査など必要ですから原則来院していただきます。24時間電話対応はしており、適切なアドバイスに努めています。