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がんサバイバーシップ時代と在宅医療

がんにかかわるすべての医療者が知っておくべき概念

1981年に悪性腫瘍がわが国の死亡原因の第1位になってから久しく、現在も悪性腫瘍による死亡者数は増え続け、死亡原因の3分の1を占めています。悪性腫瘍は全人口の半数近くが一生のうちに一度は罹患するとされ、さらに年々増加し続けています。

がんはもはや特殊な病気ではなく、common disease になったと言えるでしょう。このような情勢から、専門医だけではがん患者さんを支えることは不可能で、これからは、総合内科医(総合診療医)や、家庭医、在宅診療医が積極的に関わっていく時代になっていくと思われます。

がんサバイバーシップ(Cancer Survivorship)とは、「がんを経験した人が生活していく上で直面する課題を家族や医療関係者、他の経験者と共に乗り越えていくこと。また、そのためのサポート」と定義されています。

このがんサバイバーシップとは、もともとは、1986年に全米がんサバイバーシップ連合(NCCF)が、全アメリカ国民への質の高いがん診療を実現するよう働きかける目的で設立されたのが始まりですが、「がんの診断を受けた者は、生涯を全うするまでがんサバイバーである」と位置づけました。

これと関連して、最近注目されている「早期の緩和ケア」や「アドバンス・ケア・プランニング」は専門医だけではなく、がんにかかわるすべての医療者が知っておくべき概念です。

今年度、八幡浜在宅医療研究会の講演会の一つのテーマとして、「がんサバイバーシップ時代と在宅医療(仮題)」と題して、講師の先生を依頼中です。