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がん緩和ケアの現場に必要なチームとは

学際的チームと多職種チーム
医療現場、特にがんの終末期の人には様々なニーズが生じます。1人の専門家がそのすべて に対応することは不可能です。現代医療は一般に、チーム医療によって成り立っていますが、緩和ケアにとってもチーム医療は必要不可欠なものです。
チームは一般的に次のように定義されます。共通の目標や達成目標に向けて、それぞれのメンバーが補完的な責任を果たしていく相補的な技術を持つ少数の人の集まりです。1人ひとりのメンバーが互いを知り、すべてのメンバーが共通の目標に貢献しなければなりません。
しかし、多くのチームは、真のチームではなくクルーとしてとらえられています。典型的な例は航空機のクルーを考えてください。それぞれのメンバーは責務を果たしますが、それぞれのメンバー間は最小限のコミュニケーションを図るのみです。クルーメンバーは同じトレーニングを受ければ他の者でも容易に代わりえます。
しかし、クルーメンバーではなく真のチームメンバーはその知識と技術ゆえに選ばれたものであるため、容易に代わりは見出せません(文献;Kane RA : The interprofessional team as a small group. Soc Work Health Care1 : 19-32,1975)。
チーム医療のあり方には、学際的チーム(interdisciplinary team)と多職種チーム(multidisciplinary team)がありますが、緩和ケアにおいては前者の学際的チームが望ましいとされています(文献;Haugen DF et al : The core team and the extended team. Oxford Textbook of Palliative Medicine. 4th Ed ,Hanks G et al(eds),Oxford University Press , Oxford , p167-176,2010)。
多職種チームでは、メンバーは専門性に応じて部分的に、独立した立場で援助・協力しますが、治療方針を決定するのは1人のリーダー(多くは医師)です。それに対して学際的チームでは、メンバー全員が共通の目標を共有し、治療方針の決定はメンバーで話し合い相互依存的に行われます。リーダーは1人ではなく、状況や課題の内容により変化します。
そのような視点にたつと、医療・介護保険制度の中で、がん・非がんに関わらず在宅で患者さん・利用者さんを診る(看る)とき、がんコーディネーター、ケアマネージャーの役割に期待される部分は極めて大きいと言えます。