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ながびく咳と発熱:RSウイルス感染症?

最近当院で喘鳴様の咳と発熱をともなう患者さんが散発的に受診していますが、みなさん症状が似ており、おそらく臨床症状からRSウイルス感染症を疑っています。大人の場合はほとんどが対症療法でよくなりますが、普通の風邪と違って罹病期間が長く続く印象です。当クリニックは小児科ではないので迅速診断キットは配置していませんのであくまで疑診にとどまりますが。

◆ RSウイルス感染症
RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)は、病原体であるRSウイルスが伝播 することによって発生する呼吸器感染症です。年齢を問わず、生涯にわたり顕性感染を繰り返し、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスの初感染を受けるとされています。乳幼児期においては非常に重要な疾患であり、特に生後数週間~数カ月間の時期においては母体からの移行抗体が存在するにもかかわらず、下気道の炎症を中心とした重篤な症状を引き起こします。
潜伏期間は2~8日、典型的には4~6日。発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日間続き、その後下気道症状が出現。咳嗽、鼻汁などの上気道症状が2~3日続いた後、感染が下気道、とくに細気管支に及んだ場合には特徴的な病型である細気管支炎となります。細気管支炎例では、炎症性浮腫と分泌物、脱落上皮により細気管支が狭くなるに従って、呼気性喘鳴、多呼吸、陥没呼吸などを呈するようになり、喀痰の貯留により無気肺をおこすことも珍しくありません。心肺に基礎疾患を有する児においては、しばしば遷延化、重症化します。発熱は初期症状として普通に見られるが、呼吸状態の悪化により入院が必要となった際には体温は38℃以下になるか、あるいは平熱となっている場合が多いようです。RSウイルス感染症は、乳幼児の肺炎の原因の約50%、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告もあります。また、低出生体重児や、心肺系に基礎疾患があったり、免疫不全が存在する場合には重症化のリスクは高く、臨床上、公衆衛生上のインパクトは大です。