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死の自己決定権のゆくえ

尊厳死、「無益な治療」論、臓器移植を背景に
重症心身障害の長女(25)を持つ母として、「春待つ家族」(講談社)、「天使の人形」(偕成社)など多くの著作がある児玉真美氏の「死の自己決定権のゆくえ」(大月書店)を紹介したいと思います。
この本の内容は現在、海外の医療現場でおきている衝撃的な事実(法的に認められた安楽死を実施する国や植物状態と判定して臓器移植を安易にすすめる国々など)にもとづいて、いま話題になっている医師による医療否定本、長尾和宏医師(日本尊厳死協会副理事長)『「平穏死」10の条件』や、中村仁一医師「大往生したけりゃ医療とかかわるな」、100万部突破のベストセラーとなっている近藤誠慶応義塾大学放射線科講師「医者に殺されない47の心得」などの本に書かれている考え方の危険性を実証的に論じています。
ガイドラインで植物状態と判定された人が数か月後には植物状態から脱した枚挙にいとまのない事実や脳死状態と判定され今にも臓器摘出術を受けるようになった手術室で、上肢を動かし脳死状態ではないことが分かり臓器摘出を免れ、数か月後には障害は残存するも意識が回復した症例など、尊厳死、「無益な治療」論、臓器移植を背景に死の自己決定権が医療者サイドにゆだねられがちになりやすい医療コスト論など多くの問題提起をわたしたちに与えてくれます。
ぜひ、医療・介護関連職種の方にお勧めの本です。12月5日(木曜日)八幡浜みなっと「みなと交流館」で午後7時から講演していただく川島先生の講演もこの本に関係した話題です。在宅医療・在宅介護を実践するうえで重要なテーマだと思います。