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認知症患者数、誤っていた推計

認知症患者462万人という推計


厚生労働省は昨年、介護保険の要介護認定をもとに、認知症の人を高齢者の9.5%に当たる305万人と推計していました。しかし、認知症になっても日常生活は自立している人や、介護保険を利用していない人も多いとみられ、『全体像を反映していない』などの指摘も出ていました。

厚生労働省研究班(代表研究者・朝田隆筑波大教授)は、このたび新たに09年~12年度、専門医などがいて診断環境が整っている茨城県つくば市、愛知県大府市、島根県海士町、佐賀県伊万里市、大分県杵築市など8市町で選んだ高齢者5386人分の調査データを使い、国立社会保障・人口問題研究所による高齢者人口(12年)に有病率を当てはめて推計しました。

その結果「65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計15%で、2012年時点で462万人にのぼることがわかりました。軽度認知障害(MCI)と呼ばれる『予備軍』が約400万人いることも初めてわかりました。

この結果はこれまで認知症サポート医として、講演活動での内容に大きく変更加えることになります。

また、アルツハイマー型が67.6%と最多で、脳出血や脳梗塞など脳血管障害が原因の型が19.5%、幻視などを伴うレビー小体型が4.3%でした。

認知機能の低下はあるが日常生活は送れるMCIの全国調査は今回が初めてで、65歳~69歳は8.4%だが年齢とともに増え、80~84歳の22.9%がピークでした。

 今後もますます高齢化が進行し、2025年問題とも言われている高齢者医療にどう立ち向かっていくのか、在宅医療の在り方も含めて「地域包括ケアシステム」の構築が喫緊の課題と言えるでしょう。

上:アロイス・アルツハイマー博士
下:世界で最初にアルツハイマー病と確認された患者のアウグステ・データー