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TPP参加と日本の医療制度

日本政府はAPEC(アジア太平洋経済協力)でTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の関係国と協議に入ると表明しました。TPP参加について賛否両論ありますが、医療人の立場から私見を述べてみたいと思います。
TPPは例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃することを目標としています。生活に密着するあらゆるルールが、多国籍企業の都合により「非関税障壁」として壊されてしまうところに問題があります。日本では、世界に類を見ない「国民皆保険制度 」によって、質の高い医療をすべての国民が平等に享受して来ました。近年、国が公的医療費を抑制し続けたため、制度にほころびが生じ、医療崩壊を招きました。こうした中で今、TPPに参加し医療に市場原理を持ち込むのは、格差医療をもたらす最悪の選択だと思います。医療に市場原理を持ち込むことの危険について、医学書院から出版されている「市場原理が医療を亡ぼすーアメリカの失敗」(李啓充)(2000円)に詳しく論じられています。在宅医療にも影を落とすことになるであろうTPP参加について考えるとき、この書籍はいい参考書です。ぜひ一読をお勧めします。