第十四回 八幡浜在宅医療研究会開催しました。



 平成30年2月16日、八幡浜みなっと「みなと交流館 多目的ホール」で多摩ファミリークリニック(神奈川県川崎市多摩区)院長の大橋 博樹先生をお招きして「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)はプロセスであることの重要性〜地域で・多職種で支える意味を考える〜」と題して講演会を開催しました。

 現在わが国では、世界に例を見ない速さで高齢化が進行しており、2005年 には65歳以上の高齢者人口は全人口の約21%を占め、2013年には、高齢者人口が全人口の25%を超える「超高齢社会」に世界で初めて突入しました。
 また、わが国の年間死亡数は現在110万人前後ですが、2038年にピークを迎え170万人を超えると予測されています。 私たちが医療・介護。保健活動をするこの八西地区はすでに超高齢社会に達しており、八幡浜市では最近10年間500人前後で推移していた年間死亡者数が、平成26年には583人と増加してきております。
 超高齢社会では、①多死の時代を迎えるということ。②認知症を含む慢性疾患や癌をもつ超高齢者の増加。という2つの側面があります。
 厚生労働省の終末期医療に関する意識調査等検討会の報告によれば、人生の最終段階における医療に関して、家族と話し合ったことがある人は約40%、逆に全く話し合ったことがない人は約50%を占めています。このように人生の最終段階における医療についての人々の関心はさまざまです。話し合ったことのない人には、今まで考えたことがなかった人や、知識がないため考えられない人も存在する可能性があります。
 医療の現場でも、蘇生不要指示;DNAR指示(do not attempt resuscitation)について多くの混乱がありまありました。場面によっては今も混乱して倫理的観点が問題になることもしばしばあります。DNARに至るまでのその人の経過はどうだったのか、など意思決定に至るまでのプロセスを抜きにしてDNAR指示はあり得ません。
 この患者さんの意思決定支援の観点から、アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning : ACP)の取り組みが注目されています。ACPは意思決定能力低下に備えてのプロセス全体を指し、患者さんの価値観を確認し、個々の治療の選択だけでなく、全体的な目標を明確にさせることを目指したケアの取り組み全体のことをいいます。
 厚生労働省は本年(平成30年)3月までに、終末期医療に関するガイドラインを改訂する方針を決めたとの記事が、2018年(平成30年)1月7日付けの愛媛新聞の第一面に掲載されています。これまで病院医療に念頭を置いていた看取りを含めた終末期医療を、ACP概念も含めて在宅医療まで拡大したガイドラインに見直され、改定される予定とのことです。
 このような医療・介護・保健の現場を取り巻く情勢の中で、昨年9月からアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning : ACP)に関する講演会を企画準備してきました。
 このたび、多摩ファミリークリニック(神奈川県川崎市多摩区) 院長 日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医、総合診療医 大橋 博樹先生をお招きしてACPをテーマに御講演いただくことになりました。

 ACPとADの関係について。ACPはプロセスが重要であること。ACPの具体的な進め方など事例を挙げてわかりやすく御講演していただきました。
 講演で提示されたスライドを、大橋先生の御許可をいただき掲載しました。
 スライドをご覧いただくだけで、内容についてご理解いただけると思います。大橋先生、遠方からお越しいただき、八幡浜で活動する医療・介護・福祉・保健の分野で活動するすべての多職種スタッフのために貴重な御講演誠にありがとうございました。

御講演スライドをPDF形式で掲載しました。

<講演中、講演後のスナップ>

講演会の内容が、地元新聞・八幡浜新聞に紹介されました。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

PDFを見る

県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006