第109回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和5年10月6日(金);午後7時~8時30分

<症 例>
  40歳代 女性
<傷病名>
  アルコール性肝不全
<挨 拶>
  開会挨拶
   八幡浜医師会会長
    芝田 宗生 医師
<発表者>
  座 長
   旭町内科クリニック
    森岡 明 医師
  ①家族状況などの説明
   八幡浜医師会居宅介護支援事業所
    清水 建哉 コーディネーター
  ②症例報告
   中野医院
    中野 憲仁 医師
  ③訪問看護ステーションからの報告
   セントケア訪問看護ステーション
    松平 直美 看護師
  ④行政、教育委員会、学校関係者、保健センターの皆様

<症 例>
報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください
第109回八幡浜在宅緩和ケア症例検討会資料

<議論の要点とコメント>

●アルコール依存症の行政側の対応と断酒会について

●患者の家族への支援の在り方や教育関係者のかかわりについて

<職種別参加者数>

合計  67名
医師 6名 社会福祉士 5名
歯科医師 0名 ケアマネ 7名
保健師 6名 介護 1名
薬剤師 6名 その他 3名
看護師 23名 事務 10名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 看護師
      若い方で子供たちのサポートやケアに関して、学校や市役所等多くの関わりが必要で、制度については、知識が乏しいので知ることができ良かったと思います。
     矢野先生のような考え方もありますし、私自身、この症例をみた時、自己管理、病識のなさが原因ではないかと思いました。しかし、太田さんの言われるよう、この方の生い立ち等を含め、また依存症の方には支援者が陰性感情を抱きやすいということがわかったことは今後に役立ったと感じています。

  2. 看護師
     内容やテーマについて非常に興味深く一人の患者として捉えるか、近くの友人として捉えるかによって見えてくる患者の全体像や人となりがこんなにも変わってくるものかと衝撃を受けました。言葉や態度など表面的な患者の側面のみならず、その裏側にある背景や意味を読み取ることで、患者自身も不明瞭であったであろう意思や生への希望というものを先に見出す関わりがチームとして可能であったのではないかと考えさせられました。問題点に焦点を当てがちな支援者の一人として、患者さんのストレングスや健康的な側面など多角的に捉える視点を持ち直そうと思いました。
  3. 薬剤師
     福祉の色々な制度があることがわかり勉強になりました。
  4. 薬剤師
     中野医院を受診された後、かみやま薬局にお薬を取りに来られることがあり、接したことがある患者さんでしたが、時々の来局で関わりは薄かったです。初回面接の際に、肝臓が悪くて腹水があることは聞き取っていましたが、アルコール依存症もあることは知りませんでした。もし、アルコール依存だとわかっていたとしても病気の方ばかりフォーカスしそうだと思いましたが、患者さんの背景を含めて(お子さんがいる等)、行政のこういう関わりができるとか、どういった機関があるとかを今回知ることができ良かったです。
     残されたお子さんはショックなことだったと思いますが、色々な支援を受けて前向きに過ごしてほしいと思いました。

  5. 看護師
     若い方、子供がいる、依存症と大変な事例だったと思います。今、問題になっているヤングケアラーについても考えされられましたが、多職種連携でこの家族を支援されたことに感動しました。
  6. ケアマネ
     複雑な家庭環境の中、これだけ多くの関係機関の関りが持てたこと、素晴らしいと思いました。またいつもの症例検討会とは異なりましたが、違う面での勉強ができました。
  7. 保健師
     症例検討会では、どちらかと言えば医療よりの意見交換が多いのですが、今回は患者さんの生活、家族支援に焦点を当てたものでした。様々な関係機関、関係者が関わり、よくも悪くも患者さん、家族の生活の歴史を知っているという強みがあり、そこに医療職、介護職が入っていく形だったと思います。今回が特別ではなく、患者さんと関わり支援していく中で、患者さんや家族に近い人、これまで関わってきた人がいないのか、また協力して頂ける人はいないのか、という視点が大事であることを改めて考えさせられました。
    保健センターでは、アルコール依存症の患者さんの相談にのることも多く、酒害相談、断酒のつどいなどの取組みを行っています。病院の先生方にも取組みを知っていただくこと、周知はもちろん、ご協力いただけたらいいなと感じました。

  8. 保健師
     今回の事例は、いつもと違って「がん」ではなく、アルコールという独特の難しい事例だったと思います。若年の緩和ケアという点で多職種の連携が必要であるという点で貴重な症例検討会だったのではないかと思います。どのような連携が必要なのかという課題の議論がもう少し深まれば良かったのではないかと感じました。
  9. 看護師
     がん以外の方の症例検討で、多職種をまきこんで患者・家族を支援されていた様子がわかりました。非がん患者さんの症例検討もこれからもお願いします。
  10. ケアマネ
     アルコール依存症等依存性の強い方の対応は、医療面、行政、福祉と協力する地域ケアシステムの構造そのものだと感じました。今回の症例検討会に関係者が多数ご意見や、現在の対応等のお話頂きましたが、残された家族(子供)の支援、グリーフケアも含め今後もしっかりと見守り続けて頂きたいと思いました。断酒を始められていたのが、飲酒し始めてしまった経緯が気になりました。ご本人の気持ちがどうしても折れてしまったと思いますが、折れそうになった時にどのような支援が出来るかがとても大切だと思いました。
  11. 医師
     多職種連携は、医療職・介護職・福祉職といった専門職のみで組まれるものではなく、行政や地域の産業、教育関係者、地域住民等の参加も含みます。まさに連携する相手は地域全体と言っても過言ではなく、地域の仕組みで地域の住民を支える、いわゆる地域包括ケアこそが、在宅医療における多職種連携の目指すところであり、このことを今回の症例検討会は教えてくれたような気がします。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006