第十五回 八幡浜在宅医療研究会開催しました。



 平成31年1月5日、八幡浜みなっと「みなと交流館 多目的ホール」で箕岡医院(神奈川県相模原市)院長の箕岡 真子先生をお招きして「終末期医療の倫理」の基礎と、「DNARの倫理」(アドバンスケアプラニングの重要性)」と題して講演会を開催しました。
 講演には、八幡浜市、大洲市、などの多職種の方々72名が参加されました。

  1. 箕岡真子先生の御略歴

    日本臨床倫理学会 総務担当理事

    東京大学大学院医学系研究科 医療倫理学分野客員研究員

    箕岡医院内科医師

    浜松医科大学医学部卒業。早稲田大学大学院バイオエシックス専攻卒業。

    主な研究はバイオエシックス、介護と生命倫理、終末期医療の倫理。

    著書に『臨床倫理入門』(へるす出版)、『「私の四つのお願い」の書き方―医療のための事前指示書』(ワールドプランニング)、『認知症ケアの倫理』(ワールドプランニング)など。

 講演では、アドバンスケアプランニング(ACP)は、終末期の倫理の熟慮・発展のプロセスから生まれた産物であること、終末期医療におけるさまざまな困難な倫理的問題をどのように解決すればよいのか、これには①ACP②倫理コンサルテーションが、倫理的ジレンマを解決する有用な手段であることなど、わかりやすく御講演いただきました。
 また、コミュニケーションを重視したDNAR指示は、医療における最も重要なACPの一つとなりうること、DNAR指示を含むPOLSTを紹介していただき、今まで私たちが感じている混乱と誤解を修正することができました。

 介護分野では、コミュニケーションを重視した「看取りの意思確認」は、介護における最も重要なACPの一つになり得ることなど、歴史の浅い介護分野でのACPについても言及していただきました。

▶ 箕岡真子先生のご許可をいただき、「POLST(DNAR 指示を含む)作成指針」についての資料をPDFファイルの型式で掲載します。
PDF「POLST(DNAR 指示を含む)作成指針」について

 参加された方々にいただいた、ご意見を以下に掲載します。

  1. 保健師
    終末期医療やDNARの倫理、ACPについて、今まであまり講演を聞く機会がなかったのでとても参考になりました。概要を少し学べたのでもう少し深く学び、今後の業務に役立てたいと思います。
    自身や家族の看取りを考えていくうえでもとても参考になりました。
  2. 理学療法士
    職業柄、終末期医療に携わることはありませんが、在宅障害患者のリハビリを行う上でとてもためになりました。ACPの重要性がよく分かりました。コミュニケーションの大切なことが分かりました。
  3. 看護師
    看取りや倫理について考える参考になりました。
  4. ケアマネ
    終末期医療について、昨今の流れとして「DNARについて」や「本人の意思、これまでの生き方を尊重した自然な形での死の迎え方」などについて、様々な研修等を通じて漠然と個人の尊厳を大切にした形をとらえ、良い面ばかりを見ていたように思いますが、法的な側面や倫理的な側面を考える必要があるのだと認識しました。
    また、自分の周囲でACPやDNARについての適切な話合い等、プロセスが踏まれているか改めて考えさせられました。
    今後、終末期の利用者様の対応をするにあたり、本日の研修で学んだことを意識し、医療サイドとの連携も心がけながらご本人とご家族に寄り添いたいと思います。
  5. ケアマネ
    終末期において、ご本人、ご家族と事前に繰返し話し合うことが如何に重要であるかを学びました。
  6. 看護師
    終末期医療の難しさ、コミュニケーションの大切さを学べましたが、倫理的な問題は難しいと思いました。
  7. 看護師
    興味深いお話でした。現在、看取りのガイドラインを作成中であり参考にさせて頂きます。
  8. 医療ソーシャルワーカー
    家族の意見が本当に本人の望んでいるものなのか、最善のものなのかの判断は、非常に難しいものと思いました。
    事前に本人の意思確認が皆で出来ているのであれば一番良いですが、事前に話ができる段階でも、期間が短い、または全く時間が取れない時もあると思います。本人の背景や普段の考え方など多くの情報収集が必要になるのではないかと思いました。
    また、事前の話し合いにおいても、どのような話のもって行き方であれば一番その人の望みを聞き出せるのか等、考えさせられたことが多くあります。
    DNARがコミュニケーションを重視しているという所は、本人や家族への話合いの重要性を自分の中でもきちんと見直さなければいけないと思いました。
  9. ケアマネ
    ACPについて、終末期医療における意思決定プロセスをわかりやすく説明して頂き概要はわかりました。
    コミュニケーションが大切だということが分かりました。
    本人の意思の確認をすることは難しく、人の心は変わっていくものなので大変なことだと思いました。
  10. ケアマネ
    終末期に関わるということが少し怖くなりました。
    本人とのコミュニケーションをとること、本人の意思を知ることを基本にということを意識していきたいと思いました。
    難しい内容でしたが、こういう事を聞ける機会はないので、延命はしないとか簡単に言葉にできるようなことではないと思いました。
  11. ケアマネ
    本人の意思決定が困難な場合、家族の言葉で進むケースが多いですが、家族は本人の代理という考え方であり、本人の決定が重要であることを体系づけて教わることができました。
    本人の決定をより正確なものにするために、4つの視点を使い考えていくなかで、本人、家族を理解していくことが大切であることを感じました。
  12. 看護師
    在宅での看取りでも、コミュニケーションを大切にして本人の望む最期を迎えられるように支援したいと思います。そのためにもACPを活用したいです。
  13. 看護師
    医療倫理という難しい内容をとても分かりやすく説明して頂き、患者さんの意思決定、家族の代理判断について学ぶことができました。
    患者さんの事前意思について充分な話し合いがなされるべきであると思います。どのようなスタッフでされているのか、家族も含めて話し合う必要があるのでしょうか?具体的にどのようにされているのかを教えて頂ければ、自施設でも活かせていけるのではないかと思いました。
  14. 医師
    POLSTについて初めて詳しく知りました。
    本人、家族、医療者側のコミュニケーションが大切ということを再確認できてとてもよかったです。明日からの診療に使っていきたいと思います。
  15. 看護師
    終末期医療の倫理の基礎とDNARの倫理について詳しく学ばせて頂きありがとうございました。
    在宅での終末期の話合い、説明する時期等勉強させて頂き参考になりました。また難しさ、家族、本人様とのコミュニケーションをとることの大切さを分かっていても、真意が上手くとり辛いことがあります。しっかり勉強させて頂き今後のケアに頑張りたいと思います。
  16. 作業療法士
    このような機会を頂きありがとうございました。患者さんとのコミュニケーションの大切さ、ACPの考え方を学ぶ事ができました。今後の臨床でより深めていきたいと思いました。
  17. 保健師
    200ページを超えるスライドの内容をこの時間で伝えて頂くことは難しいと思いました。事前に資料に目を通していたのですが、基礎、応用、実践といった段階を追っての学びが必要だと思いました。
    意思決定を促し支える時に、家族や医療、介護スタッフが誘導するのではなく、分かり安く本人に情報提供し、時間をかけて関係性を築きながら取り組むことが必要だと思いますが、現状ではまだ十分な配慮ができてないように思います。
    何よりも意思決定する本人がその大切さを学び、考える機会を提供する取組みについて学んでいきたいと思いました。
  18. 看護師
    DNARの重要性は、コミュニケーションや関わる人の人間性が影響することが理解できました。
  19. 看護師
    83歳の認知症(寝たきり、脳梗塞で言葉が出ず、時々笑う表情あり)の叔母がいます。独身で私が主に意思決定をしていますが、いつもこれで良かったのかと考えたり悩んだりしています。(母の妹なので母と相談しながらですが)
    これらのことを考えるのにとても参考になりました。
    私自身や家族(娘や息子)とも、終末期について話をしてみようと思います。自分がこうありたいと伝えることが、家族の気持ちも理解できる機会になるのではと思いました。自分の事として考える良い機会になりました。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

PDFを見る

県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006