第72回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB開催
    八幡浜医師会館、八幡浜市保健センターで放映
  2. 日時:令和2年7月3日(金);午後7時~8時30分
  3. <症 例>
    80歳女性
    #1、膀胱癌
    <発表者>
      座長は、旭町内科クリニック;森岡 明医師
      ① 家族状況などの説明
       八幡浜医師会:清水 建哉 コーディネーター
      ② 症例発表
       市立八幡浜総合病院 泌尿器科:大西 智也 医師
      ③ 訪問看護の経過について
       訪問看護ステーション・ひかり:山崎 広八 看護師から

<症 例>
PDFファイルをダウンロードしてご参照ください

    <議論の要点とコメント>

  1. 発熱の症状緩和に、ナイキサン100mg・6錠/分3(1日2錠⇒3錠⇒6錠/分3と漸増してもよい)で対応するとしっかり腫瘍熱をさげる。ステロイドを加味してもよい。
  2. 訪問看護の場面で、娘さんから残された時間はどれくらいか、を尋ねられたが主治医の判断なので具体的に答えることはしなかった。このような場面は、よくあると思われるが、一番身近に医療的ケアを実施している訪問看護師が適切にこたえることは大切と思われる。そのためには、多職種での連携・主治医との意思統一をこまめに取っておくことが重要なのではないか。
    おそらく、娘さんは現在のコロナ禍のなかで、家族が介護休暇をとって帰省するタイミングを推し量っての訪問看護師への質問と思われるので、やはりその思いに適切にこたえるべきだったのでは。
  3. キーパーソンについて:必ずしも良く発言する人がキーパーソンではなく、ご本人の語りをよく聞くことが重要。
  4. 訪問入浴サービスとマスク着用について。

<職種別参加者数>

合計  56名
医師 8名 社会福祉士 3名
歯科医師 1名 ケアマネ 13名
保健師 3名 介護 3名
薬剤師 6名 その他 1名
看護師 17名 事務 1名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 薬剤師
    治療内容のみならずケア内容、特に心情面(余命を聞かれた時の対応の仕方)を考える重要性がわかることができて良かった。また、在宅ケアを進めていく中で、チーム内で情報共有していくことが大事と学びました。
  2. ロロロ
    調剤薬局ではなかなか関わることも、知ることもできない患者さんの死の状況を知ることができて良かったです。
    気になった点は、①レシニールはいつまで服用していたのか?この患者では、副作用リスク > ベネフィットと思われたので気になりました。
    ②アダラートはいつまで服用していたのか?おそらくCR錠であり、比較的サイズが大きく簡易懸渇もできないので、いつまで服用でき、必要だったのか気になりました。
  3. 看護師
    症例をもとに、たくさんのことを考えることができました。本人、家族の思いを確認しながら行っていきたいと思います。
  4. ケアマネ
    多職種での情報共有の大切さを勉強させていただきました。
  5. ケアマネ
    市立八幡浜総合病院の先生方とお会いして情報交換をする機会が増えてきておりましたが、正直、毎回緊張してしまい、うまくお伝えすることができないことが多々あります。先生方の「相談してください。」と力強く言っていただけたことで、一人で悩むケースも多いため心が楽になりました。今回のように、体調の急変が多い患者様を実際に担当することがあるならば、チームの皆様としっかり連携をとれるよう先生方のお力をかりて患者様を支えられようになりたいと強く感じました。
  6. 看護師
    家族は余命について医師より聞いても、あとどれくらいかスタッフに聞いたのかもしれません。何らかの声掛け、寄り添いが必要だと思われます。もちろん、お互いの情報共有は必要だと思います。
  7. 保健師
    コロナで集まれないこの時期をチャンスに変えて、webで連携をとれる「体制づくり」をされており、すごいと思いました。これまで、しっかりと対面での連携が図れていたからこそだと思いました。
    久しぶりの会でしたが、今回はたくさんのお土産をいただきました。山崎NSの一生懸命の関わりがあり、そこから今後に繋がる皆の看護の参考になる意見が出たのだと思います。自分の反省点も見えました。
  8. 薬剤師
    余命に関して、家族の方々が知りたい時の対応を考えておかなければならないように思いました。患者さん本人、家族にとって、1分先の希望すらなくしてしまう言葉を選ぶことだけは避けたいと強く感じます。死期を受け入れることも大切だと思いますし、今までの人生を悔いなく終えてほしいと私は強く思いました。多職種で情報の共有も大切だと考えますが、発する言葉は変わっていても良いのかもしれないと思いました。
  9. 保健師
    ご本人様やご家族様の状態を受けとめながら適宜、関係者とのカンファレンスを行いながら、支援されていたことがよく分かりました。文書上では分からないことも検討会を通して支援者がつかんでいることも多く、勉強になりました。
  10. 医師
    がん患者さんをはじめ、終末期にある方に関わる時に、問題が発生した時にどのように対応すべきか思い悩むことがあります。多職種で連携しながら、ストレスコーピングのスキルを身につけていくためにもこの検討会は意義があるのではないでしょうか。
  11. ヘルパー
    夫婦愛を感じました。余命が短いので、その間、どう生活するのか、コロナの影響で次女さんが帰省できず、どのタイミングで帰ってくれるか分からない状況です。でも、ご主人は、一生懸命、奥さんのことを大事にされ「生きる」ということに向き合っていたのだと思いました。それを奥さんも感じていたと思います。
  12. ケアマネ
    4月30日の余命の話合いについて、色々意見が交わされてとても勉強になりました。娘さんの介護休暇について、私自身も「今とるべきである」と思いつつ、あの場で言えなかったことは反省しています。同居されている家族とのコミュニケーションは取っていましたが、娘さんとの連絡を蜜にとっていなければいけなかったと思っています。病状が悪化する中、もう少し早くサービスの導入に結びつけられたら良かったとも思い、今後に活かしていきたいと思います。
  13. ケアマネ
    看取り期における支援について、医療知識が薄い分、不安もあります。今回のような余命のことをケアマネとして聞かれることは、ほぼないと思いますが、看取り期におけるご家族の思いに少しでも寄り添って、今後もケアマネとしてできることをして行きたいと思います。
  14. 看護師
    最期は病院で、との方向でしたが、最終的には本人様、ご家族様が自宅を望まれました。医師が看取りにきていただける安心感や多職種の方々が度々、自宅訪問し関わりを深めた結果、自宅にいたいと思われたことは、今後の訪問看護を行っていく指針ともなりました。
  15. ケアマネ
    新規の利用者の方と関わる際、キーパーソンを誰にするか毎回考えますが、今回の事例では、ご家族さんを全員集めて説明して、進めていくことは良かったのではないでしょうか。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006