第111回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和5年12月1日(金);午後7時~8時30分

―第44回日本死の臨床研究会年次大会 シンポジウムの発表報告―

<挨 拶>
  開会挨拶
   八幡浜医師会会長
    芝田 宗生 医師
<発表者>
  座 長
   旭町内科クリニック
    森岡 明 医師
  ①在宅緩和ケアモデル事業の歩み
   愛媛県在宅緩和ケア推進協議会 会長
    中橋 恒 医師(松山ベテル病院院長)
    (中橋)在宅緩和ケアモデル事業の歩みPDF
  ②八幡浜市の地域おこしに生かす緩和ケア ー地域おこしは人育てー
   八幡浜在宅医療研究会 会長
    森岡 明 医師(旭町内科クリニック院長)
    (森岡) 地域おこしは人育て「八幡浜市の地域おこしに生かす緩和ケア」PDF
  ③愛媛県在宅緩和ケアコーディネーターの育成とその活動の持続可能性
   愛媛県在宅緩和ケア推進協議会 副会長
   愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻
    吉田 美由紀 看護師(地域看護専門看護師)
    (吉田)愛媛県在宅緩和ケアコーディネーターの育成とその活動の持続可能性PDF
  ④在宅がん緩和ケアコーディネーターの役割と地域の変化について
   八幡浜医師会居宅介護支援事業所 所長
   愛媛県在宅緩和ケアコーディネーター
    清水 建哉 介護支援専門員
    (清水)在宅がん緩和ケアコーディネーターの役割と地域の変化についてPDF

<議論の要点とコメント>

●「第44回日本死の臨床研究会年次大会シンポジウム2」での発表を聴講し、これまでの、そしてこれからの八幡浜市・伊方町での在宅緩和ケアについて議論を深めた。

<職種別参加者数>

合計  55名
医師 8名 社会福祉士 3名
歯科医師 0名 ケアマネ 11名
保健師 4名 介護 3名
薬剤師 5名 その他 3名
看護師 16名 事務 2名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 看護師
     症例検討会で顔の見える関係ができ、多職種が連携しやすくなり、在宅看取りが安心してでき、看取りが多くなってきていると発表を聞かせてもらいました。また検討会が月1回ずっと継続していることで地域内のそれぞれがスキルアップできており、人も育っており凄い取り組みだと改めて思いました。
  2. 看護師
     八幡浜の症例検討会は、いつも多くの学びを得ることのできる貴重な機会だと思っています。八幡浜以外の地区でも定期的に検討会が行われていますが、一度「愛媛県在宅緩和ケア推進モデル事業」の各地区のコーディネーターの皆様が揃われてのお話を伺いたいと思います。それぞれの地区の現状や課題を知る機会があればと思います。
  3. 保健師
     伊方町も含めて広域での取り組みを考えて頂いていることに感謝しています。この機会を通じて多くの学びを得ると同時に、より多くの方と繋がれたことをとても心強く感じています。10年後、果たして担い手(医療・介護・保健・福祉等)がどれくらい町内に残っているのか考えると、現状からとても厳しくなると思わざるを得ません。基本となる繋がりを築いたうえでそれぞれの思いや情報を繋ぎながら、支え合える体制をソフト、ハード両面で進めていく必要があると考えます。
  4. 福祉用具専門相談員
     今回の症例検討会は、これまでの在宅緩和ケアの経緯、理念等がよく理解できる内容で、現在の緩和ケアの考え方や地域での取り組み、実際の患者様、家族様との関わりが理解しやすかったと思います。アンケートの結果でグラフ化されているものを見ると、八幡浜市での看取りの質の高さが覗えました。看取りコーディネーターの研修を受けましたが、予測と備えが的確にできるように多職種連携で関わって行ければと感じました。
  5. 薬剤師
     コーディネーターのことが知ることができ良かったです。在宅において八幡浜が頑張っていることや森岡先生や清水さんをはじめ関わっておられる先生方や医療従事者の方々は凄いと改めて思いました。
  6. 保健師
     八幡浜の在宅緩和ケア症例検討会の立ち上げやその思い、緩和ケアの取り組みについて、先生方から直接お伺いする機会を作っていただきありがとうございました。新しく担当になり、なんとなくとしかわかっていないところもあり、とても勉強になりました。
    また、事例検討会の意味や効果的に行うために、どのような工夫をされているかを知ることができ、今後参加する上でとても参考になります。

  7. ケアマネ
     今回、八幡浜市のモデル事業の歴史を聞かせて頂きました。
     実際、この約10年の皆様のご苦労や実績の積み重ねが、こうやって地域の中で実り、広がっていっていることを改めて実感させていただきました。
     最後に話題があがりましたが、これからの八幡浜市のことを考えると、担い手不足が大きな課題になってきます。「在宅で最期まで過ごしたい」と思われる方をどう支援していくか、現場レベルで地域や仕組みの構築が、今後重要になってくると感じました。
    皆様が在宅緩和ケアの仕組みを作り上げてくださった中で、今度はフォーマルサービスだけではなく、地域の力を交えて、どこまで今の仕組みに近づけていけていけるか、そのために地域の中で誰が旗振りをしていくか非常に重要になってくると感じました。もしかしたら、地域の高齢者や認知症の方が地域の見守り役になるのかもしれません。
    これからも、たくさんの事例を重ねていき、そこから、新たな八幡浜市ならではの在宅緩和ケアの形が見えてきたらいいなと感じました。

  8. ケアマネ
     今回の症例検討会は「日本死の臨床研究会年次大会」の発表内容を紹介していただき、改めてこの八幡浜で根付いてきた在宅医療、在宅緩和ケアの10年間の歩みを振り返ることができました。先生方の勉強会から始まった症例検討会に、徐々に介護、医療、福祉に関わる方たちが参加させていただくようになり「多職種連携協働」「顔の見える関係つくり」へと発展し、現在のチームケアへと導かれていったと思います。コーディネーターの清水さんはケアマネの業務の傍ら、熱心に私たちの相談にも耳を傾けてくださり、調整、同行訪問など本当に心強いです。これからも八幡浜在宅緩和ケア症例検討会への参加を通じてたくさんの学びを得ていきたいと思います。
  9. 看護師
     本日の研修はとても貴重で今後に活用できます。愛南町も高齢化が進み、看護師・ケアマネなど看護・介護する側も高齢化し人材不足になっています。当院では,癌だけでなく心不全や嚥下障害などの患者でも在宅療養できるよう認定看護師も継続看護に介入してもらっています。当院でもより早く、的確なサービスが整うよう進めることが課題になっています。今後もいろいろな意見を聞かせてください。
  10. 介護士
     多職種連携という言葉は聞きなれているものの、まず地域の多職種と連携が図れているかというとそうではない気がします。それぞれの事業所でサービスを提供しているものの、サービス内容やお客様の状態について共有できていないことで、それぞれで課題に対して同じ方向に向いていない現状を感じています。靴ひとつみても、福祉用具との連携が図れていない。一つの営業所だけが取り組んでもお客様の為にはならない。人材育成の中で多職種となぜ連携しなければならないか、改めて勉強していかなければならないと再認識しました。
  11. 介護士
     多職種連携について、訪問入浴でもできることがあると思い、滞在時間は1時間も無いのですが、そのお客様の生きて来られた話や困りごとなど、少しずつではあるのですが、聞くようにスタッフには声掛けしています。些細な事でもケアマネさんには報告をしています。お亡くなりになった時は、スタッフへ「あのお客様は頑張ったよね(頑張って生きたという事)」といつも伝えています。
     連携はとても重要な事だと思いますので、これからも一緒に頑張っていきたいと思います。

  12. 鍼灸師
     在宅医療の充実は国民一人一人にとってありがたい存在だと思っています。
     各専門職が十分に発揮できる様コーディネートできる人の存在は不可欠です。
     吉田さんたちが進めている様なもの、最後に太田さんが言われていた共通認識の醸成は、とても大切になってきます。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006