平成25年12月5日午後7時より、八幡浜みなっと「みなと交流館 多目的ホール」で仙台住診クリニック院長の川島孝一郎先生をお招きして「在住医療とICFの思想」と題して講演会を開催しました。
「人の生きることの全体」を示す共通言語
国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)は、世界保健機関が2001年5月22日の世界保健総会(World Health Assembly)において、国際障害分類(1980年採択、International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:ICIDH)の改訂版として採択、加盟国に勧告している、健康状態、心身機能、障害の状態を相互影響関係及び独立項目として分類し、当事者の視点による生活の包括的・中立的記述をねらいにする医療基準です。人がこの世に存在していることをいかに支えていくかを考えるとき、(生活機能)をどう支えるかと言うことが大切になってきてきます。
生活機能とは、ICF(国際生活機能分類)の根底にある考え方であり、「人の生きることの全体」を示す共通言語です。
川島先生によると、100%健康な体との比較評価であるICDという“ものさし”で人間を測れば、当然、重度障害も、チューブ栄養も、人工呼吸器依存も、絶望的な結果しか出てこないわけです。それに対して、ICFの視点で考えれば、重度障害があっても、胃ろうになっても、人工呼吸器をつけても、それは、生き方の形を変えただけで、それぞれの状態で精一杯日常生活を送ることができていたら、どの状態でも100点というふうに評価できます。そこで、川島先生は、医療でも、ICFを共通言語にして、支える医療をすすめていくべきと訴えられています。
講演会には約100名の参加者があり、中には高校生も参加されていました。大変有意義な講演で、資料も沢山ご提供していただきましたことをお礼申し上げます。
講演スライドをPDFファイルの形式で、川島先生の御許可をいただき掲載しました。このファイルを閲覧するだけでも講演内容がお分かりいただけると思います。
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以下に参加者からのメッセージをまとめました。
今後の家族の看護に参考
言葉の使い方が間違っていた
訪問看護業務に役立て行きたい
自分の生き方も改められそう
生きる事への考え方が変わった
在宅医療の考え方が少し変わった
自分の人生も楽しみながら生きていきたい
解釈次第で対応が変わる、ことが理解できた
老化について正しく伝えていかなくては…
間違った方向へ勝手な自己誘導を反省
精神的に幸せな生き方ができるよう支援する
まずは自己変容の努力から実践して行きたい
「統合された全体」としてのチームケアをしていきたい
まさに「目からウロコ」の講演内容であった
自分が高齢者になった時、支える支えられる人の比が1:1であることに改めて怖さを感じた
「100%生きた」と言ってもらえるよう関わっていきたい
続きを聞きたい(現場の様々な話も含めて)
延命ではなく生き方の大切さが学べた
川島先生自身が在宅医療訪問を楽しんでいるのが想像に難くない
「癌の痛みは必ずとれる」と断言してもらい安心した
sanctityを自身の思考の基にしたい
資料66P以降をもっと詳しく聞きたかった
ICFの構造において私たち支援者も常に含まれていることを再認識
ICFが在宅医療と関連して理解することができた
その他…
「車椅子や寝たきりになればお終い」という子供さんがいる。どうすれば「車椅子や寝たきりでも歩ける時と同じように…」と変われるかヒントをもらえた。ただとても難しい…
私は現在88歳の母と二人で暮らしている。父が亡くなり20年、母は1人で生活していた。5年前に自転車で転び歩行困難になった母の希望(這ってでも家にいる)で私は夫と娘の了解を得て東京から帰省した。母の望む生活を親子でケンカしながら行っている。
川島先生のお言葉をバイブルにして自宅で生活していきます