第41回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:八幡浜医師会館3階 会議室
  2. 平成29年8月4日(金);午後7時~8時30分
  3. <症 例>66歳、女性
    <傷病名>肺癌
    <発表者>
      八幡浜医師会・清水建哉コーディネーターから家族背景などについて
      主治医・二宮医院・二宮完治医師より症例経過について
      八幡浜医師会訪問看護ST・坂本美恵子看護師より

それぞれご発表いただきました。

    <症例サマリ>

  1. 既往歴:高血圧症、気管支喘息
  2. 病歴:平成27年12月、県立中央病院にて肺癌治療を開始。
  3. 1次治療から4次治療まで実施されたが、PS3になり治療無効と判定された。
    平成29年5月より在宅がん緩和ケアを主体に在宅での療養となった。
    在宅医療期間;平成29年5月2日~6月27日

    <議論の要点>

  1. 本症例患者さんの薬に対する特別な考え方について理解する。
    *オピオイドの拒薬について
     ・癌に対して治療方法がないのに、薬を飲む必要がないのではとの考え
     ・MS-コンチン:胸膜癒着部の痛みがとれたので効果を実感→服薬してくれた。
  2. 病状説明のアプローチについて
     ・病状の説明によっては、かえってストレスを増強することもあるので注意が必要
     ・治療医側からの説明を、在宅医(緩和ケア医)がどのように受け継ぐのか、
      その流れを考慮すること。
     ・症状を聞いても、「なんともないです」の答えに隠された悲しみに寄り添う。
  3. 「痛い人がいる」-医療者はその苦しみを取ってやろうとするが、「痛い」のはだれか?主語を考えることも重要。
  4. 呼吸困難感があるとき、オプソなどのモルヒネが有効だが、二宮先生が使用した「ホリゾン(ジアゼパム)」などの抗不安薬も試みてよい効果が本症例では観られた。
  5. 癌になる前から、日常の診療で10数年来関わって来られた在宅医が、終末期に遠慮なく在宅医に普段着の言葉でなんでも言えたことが患者さんにとってはよかったのではないだろうか。

<職種別参加者数>

合計  62名
医師 9名 社会福祉士 3名
歯科医師 1名 ケアマネ 17名
保健師 1名 介護 4名
薬剤師 6名 その他 3名
看護師 15名 事務 3名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 薬剤師
    MSコンチンの粉砕は驚きましたが、患者様の背景をお聞きするとそのバランス感覚が非常に難しく、鍛えていかなければならないと勉強になりました。
  2. 看護師
    病歴からさみしさ、孤独を探っていく。また根本を共有しそこを支えていく。拒薬は、症状がない体調でありたいという思い。(薬を飲むことは、自分の体調が悪いことを認めること。)看護者として大切なことを学びました。
  3. 看護師
    難しい症例だったと思いますが、丁寧な対応で自宅での看取りができたと思います。中橋先生や吉田さんからの意見はとても勉強になりました。
  4. 看護師
    今回の症例では薬の拒否があったため、訪問での関わりは本当に大変だったと思います。信頼関係ができていない中での過去のエピソードの聞き取りは難しく、寄り添い、本人の思いや何を求めているのか、何のために私(看護師)が行くのか、どういう風に本人に向き合うのか、限られた訪問時間では非常に難しいです。自分自身の課題として今後も患者様との関わりを大事にしたいと思います。
  5. 看護師
    利用者様の思いを汲み取る事の大切さを勉強させて頂きました。
  6. 看護師
    言葉の裏にある意味を考え、共感しながら“想い”を理解したケアこそ、利用者、家族のためになることが事例を通じて理解できました。
  7. 看護師
    なかなか難しいケースでしたが、検討会は色んな意見が出て、分かりやすかったです。困難事例の検討で、関わり方、問いかけ方、本当の本人の思いなど、少し理解でき勉強できたと思います。
  8. 看護師
    患者様の気持ち、関わり方の大切さを改めて考えさせられました。
  9. ケアマネ
    今回初めて参加させていただきありがとうございました。私にとっては医療に対し苦手意識があり、難しい話かと思っていましたが、私にとってもとても分かりやすく、楽しく聞くことができました。実際、最近ターミナルの方も数名担当し、ケアマネとして、どう関わるかを考えさせられました。基本情報もないまま受入されたこと、本当に素晴らしいと思いました。
  10. ケアマネ
    地域で長い間、根を張って患者さんを診られている二宮先生の思いを伺うことができました。患者さんも大変だと思うが診ている人も大変だと思います。診ている人、側にいる人が辛くなるという話を伺い、同じようなケースに関わっていますので、とても言葉に感じる所がありました。有り難うございました。
  11. ケアマネ
    初めて参加させていただきました。在宅での看取りはそれぞれ違いがあり、課題もたくさんあると思いますが、元気な頃からの主治医との関わりの大切さがよくわかりました。
  12. ケアマネ
    ご本人が関わる私たちに何を望んでいるのか、立ち戻って考えることの大切さを学びました。
  13. ケアマネ
    独自の世界観があり拒薬もあり対応の難しい方で本当の状態が分からず、本音を聞き出せなかったようですが、二宮先生との信頼関係があったことが、ご本人の心の中では安心されていたのではないかと思います。
  14. ケアマネ
    医療処置後の患者さんの状態や家族様の反応が聞けて大変勉強になりました。有り難うございました。
  15. ヘルパー
    利用者に寄り添うということ、また考え直してみようと思いました。
  16. 医療コーディネーター
    「薬へのこだわり」というエピソードがあったが、一般の方々の中に「薬は毒だから飲まない方が良い」とか「医者は儲かるために薬を出すのだから、自分の症状に合わせて控えめに服用した方が良い」等、間違った考え方や情報が拡散している部分も多くあるように感じる。そのような考え方を持った人が大病をした時、服薬に対し間違ったこだわりを通そうとすると考えられる。
  17. 事務
    患者様との関わり方で、とても勉強になる意見が多々あり今後に活かさせて頂きます。見落としがちな訴えを聞き取れる、感じ取れるよう日々意識していこうと思いました。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006