- 場所:八幡浜医師会館3階 会議室
- 平成30年4月6日(金);午後7時~8時30分
<症 例>59歳、男性
<傷病名>胸部中部食道癌、肺転移、傍大動脈リンパ節転移
<発表者>
八幡浜医師会・清水建哉コーディネーターから家族背景などについて
谷池内科・胃腸科:西野 執医師より症例経過について
訪問看護ステーションSetsuko所長・菊池 世津子看護師より
それぞれご発表いただきました。
<症例サマリ>
平成29年 5月 市立八幡浜総合病院受診。食道がん遠隔転移StageⅣ と診断
平成29年 6月 松山赤十字病院に紹介
平成29年 7月 CVポート挿入、緩和的放射線治療(40Gy)同時に抗癌剤治療FP療法
(5FU/CDDP)施行。以降6週間おきに入退院をしながら抗癌剤治療。
平成29年末頃より経口摂取困難となり1月5日に松山赤十字病院に緊急入院
入院後はCVポートからの高カロリー輸液を開始。
平成30年 1月11日のCTにて食道がんの急激な増大と口側食道の拡張を確認
今まで使用していない抗がん剤(パセリタキセル)の導入を検討したが本人としては「経口摂取のめどがたたないなら効果不定でリスクを伴う抗がん剤の治療は望まない」と言われ八幡浜での療養を希望される。
平成30年 1月16日 松山赤十字病院にて本人、息子さん、コーディネーターで面談。看護師の方から在宅中心静脈栄養法の手技を教示される。
本人:針の交換や繋ぎ変えも自分で出来るので看護師さんの訪間はいらない。先生の所にもこっちから行くので大文夫。先がないのも分かっているから早く家に帰りたい。
息子:心配なので訪間看護や訪問診療には来てもらいたい。お金の事は大丈夫です。
平成30年1月19日(金)
退院に合わせて谷池内科受診。本人、息子、CD、訪間看護同席。
本人:何でも出来る、車も運転して受診も出来るので往診や訪間看護は必要ない。(笑顔)
CD:何かあった時に急に行くのは大変なので来週の月曜日に先生と看護師さんで場所の確認のために一度訪問させて欲しい。
本人・息子さんも納得され1月22日に初回訪問の約束を行う(実際は、胃の痛みがあり1月21日からの訪問診療となった)。
在宅医療期間;2017年(平成29年)10月28日~(平成30年)1月27日
(平成30年1月27日 自宅にて死亡)
- もともと市立八幡浜総合病院から松山赤十字病院へ紹介された経過から、在宅に戻られるとき、松山赤十字病院から在宅医だけではなく、市立八幡浜総合病院の紹介医宛への診療情報提供があってもよかったのではないか。地域の基幹病院と在宅医の連携のためにも今後コーディネーターが注意する必要がある。
- 在宅期間が数日と短く、突然に亡くなられた。おそらく、食道癌の下行大動脈への浸潤→動脈破裂が原因として考えられた。そのような事態も起こりうることの説明はできていたが、家族が死を受けいれるための時間が不足ぎみだったことなどから、グリーフケアもその点に配慮する必要がある。
<議論の要点>
<職種別参加者数>
医師 | 11名 | 社会福祉士 | 1名 |
---|---|---|---|
歯科医師 | 1名 | ケアマネ | 19名 |
保健師 | 4名 | 介護 | 3名 |
薬剤師 | 4名 | その他 | 1名 |
看護師 | 17名 | 事務 | 2名 |
- ケアマネ
病院間での連携室の情報取扱が在宅にはとても大きな影響を受けてしまうので、調整は難しいと思います。 - 看護師
地域連携室のあり方、情報共有について、多くの問題を改めて感じ勉強になりました。 地域連携室のあり方、患者さんの不利益にならない対応の方法を考えなければならないと改めて思いました。 - ケアマネ
関わる期間が短く、主治医、訪看と本人、家族の意思疎通が十分に取れないまま亡くなってしまった方の症例の関わり方の難しさを考えさせられました。 - ケアマネ
緊急時に連携を取りながら対応されていたスタッフの皆さんが素晴らしいと思いました。 - 薬剤師
質問:看護師の坐薬の挿入の拒否の際に、テープ剤(フェントステープ)に代えた方がご本人の負担も少ないかと思ったのですが、何か理由が(本人のこだわり等)あったのでしょうか?
(※清水コーディネーターに回答いただくようお願いしております。)情報を渡す側、受ける側の認識を合せるための調節をすることで、円滑な地域ケアに繋がることが勉強になりました。
誰が言うかで納得が違うというのは、目からウロコでした。納得のために相手方への依頼の方法も考えることを学ばせて頂きました。 - ケアマネ
今回、コーディネーターの関わりや基幹病院との連携が主なテーマとなり、原点に返る話ができて大変よかったと思います。 - 保健師
市立八幡浜総合病院との連携について話題となりましたが、ぜひ症例を通じて、市立八幡浜総合病院が市外でオペや治療をした患者さんに対して、地域に戻った時の受け皿として関わってもらえるようになれば良いと思います。
コーディネーターに求められる事や役割について、改めて確認することができました。
<アンケートから>
以下に参加者からのメッセージをまとめました。