第52回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:八幡浜医師会館3階 会議室
  2. 日時:平成30年8月3日(金);午後7時~8時30分
  3. <症 例>70歳代後半、男性
    <傷病名>筋萎縮性側索硬化症
    <発表者>
      ①医師会コーディネーターより家族背景などについて
       八幡浜医師会・清水 建哉ケアマネージャーから
      ②愛媛県難病医療コーディネーターより発症から入院、退院までの経過説明
       愛媛大学医学部付属病院・是澤 志保看護師から
      ③在宅主治医より病状について
       矢野脳神経外科・矢野 正仁医師から
      ④在宅生活の経過について
       八幡浜医師会・坂本 美恵子看護師から
      ⑤薬物治療などについて
       いろは薬局・井上 正廣薬剤師から
      ⑥難病医療費助成制度について
       八幡浜保健所・古谷 光保健師から
      ⑦市役所福祉課の仕事内容について
       八幡浜市役所担当課・萩森 純一氏から

それぞれご発表いただきました。

    <症例>

  1. 2017年発症の筋萎縮性側索硬化症で、大学病院で精査後、2018年3月在宅医療の開始となった。
  2. <議論の要点>

  3. 緩和ケアを主体に今後どのように関わるかについて、多職種連携で話しあわれた。
  4. ご本人は「延命はしないでほしい」との意思表示をされている。しかし、在宅での生活が、苦痛なく過ごせるように緩和ケアは希望されており、緩和的な処置が延命処置と誤解されることもあり、十分な説明が必要なのではないか。
  5. 有効な治療法がない疾患であり、ご本人にとっては心理的な痛み・苦痛もあると思われる。このような視点からのカンファレンスは十分に行われているのか。可能なら臨床心理士もチームに加わる必要があるのではないか。
  6. 難病医療費助成制度や市役所の支援制度などについて説明があった。
  7. 病院側の意思統一にも疑問があり、十分に在宅医療が導入される素地ができたうえでのことではなかったように思われる。
  8. アドバンス・ケア・プランニングの実践が試される症例で、今後の各専門職の学習が大切なのではないか。
  9. 今回はこれらの意見が出され、がん緩和ケアの基本的な思想にもつながる議論がなされました。
    PDF:ALSの緩和ケア
    PDF:市役所福祉課の仕事内容
    PDF:難病医療費助成制度について

<職種別参加者数>

合計  67名
医師 10名 社会福祉士 1名
歯科医師 2名 ケアマネ 18名
保健師 5名 介護 5名
薬剤師 4名 その他 1名
看護師 19名 事務 2名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 看護師
    限定された人達だけでのケアでは、その人の生活は成り立たない。誰でもできるケアで生活は維持できると考えさせられました。
  2. 看護師
    患者様家族の病状の理解度、本音がどこまで医師側に伝えられるか、心を開けられるか、声掛けの必要性、難しさ、勉強の必要性を考えさせられました。
  3. 介護支援専門員
    延命をしたくないと主張されていても、怖がりの性格であれば気持ちに変化がみられることもあるので、その都度に意思決定の確認は必要なのだと思いました。
  4. ケアマネ
    医療行為が必要な場合、それが延命処置ではなく緩和ケアという視点を学びました。
  5. ヘルパー
    在宅サービスを専門にしておりますが、ALSの方も何名か関わらせていただきました。ご本人、ご家族が後悔しないように常に考えておりますが、やはり最期になると、求められるものと、提供できるものに差があるのも現実です。地域で生活を望む方々について、このような会を開催されることはとても有難い事だと思いました。
  6. ヘルパー
    今回の症例の方はALSと診断され、ご本人や家族が病気への理解ができていなかった。延命はしないと言われるが、苦しい時には苦しみを取ってほしいと希望している。その時、その時の病状に合せて接する難しさを勉強させていただきました。
  7. ケアマネ
    医療面のケアだけでなく、ご本人の精神的ケアの難しさを感じました。傍で支える方はきっと大変な思いをされていると思います。
  8. 医療コーディネーター
    今回のALSのケースの方は、意思決定において一見、矛盾しているような発言でしたが、矛盾しているのではなく、目の前の視覚的情報で判断を行っている人であると思います。基本は死にたくないという意思があるが、苦痛に対しては、想像できないため、あのような発言になっているだけであると考えられます。その時にならないと考えられないのだと思います。
  9. 保健師
    私が関わるALSの方は数名いらっしゃいますが、気管切開をしている人はいません。病状が悪化して苦しくなっても、本人から希望されることもなかったです。しかし苦しいので訴えが強くなり、家族、訪問看護師の対応もいずれ限界がきて、眠剤投与して低酸素状態にするという事例しかしりませんでした。気管切開するとどのような生活を送ることになるのか、自分が想像できるようにしておきたいと思いました。
  10. 保健師
    意思決定について、本人、家族にその都度その都度丁寧に説明を行いながら、関係機関で共有していくことの大切さを改めて感じました。でも、やはりすごく難しいことだと感じました。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006