第55回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:八幡浜医師会館3階 会議室
  2. 日時:平成30年11月2日(金);午後7時~8時30分
  3. <症 例>70歳代後半、男性
    <傷病名>筋萎縮性側索硬化症
    <発表者>
      ①医師会コーディネーターより家族背景などについて
       八幡浜医師会・清水 建哉ケアマネージャーから
      ②在宅生活の経過について
       八幡浜医師会・松平 直美看護師から
      ③在宅主治医より病状経過について
       矢野脳神経外科・矢野 正仁医師から
      ④終末期に矢野脳神経外科に入院、看護経過の発表
       矢野脳神経外科・奥谷 員代看護師から

それぞれご発表いただきました。

<症 例>
2017年発症の筋萎縮性側索硬化症で、大学病院で精査後、2018年3月在宅医療の開始となった。

    <議論の要点>

    第52回紹介事例のその後について

  1. 緩和ケアを主体に今後どのように関わったかについて、多職種連携で話しあわれた。
  2. 終末期は、入院看取りとなった。

<職種別参加者数>

合計  62名
医師 8名 社会福祉士 2名
歯科医師 2名 ケアマネ 14名
保健師 5名 介護 5名
薬剤師 3名 その他 1名
看護師 21名 事務 1名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. ヘルパー
    今回は、以前の症例の振り返りやグリーフケアの発表でしたので、本人様の気持ちや家族様の気持ちがより詳しく理解できました。
  2. ケアマネ
    前回の研修では、症状、治療方針、連携等の報告でしたが、今回は実際どのような介護をされたのか具体的な報告を聞かせて頂き参考になりました。
    関係者が本人の意思を尊重しながら、医療、介護が提供できたのではないかと思います。終わってみるともっと違った関わりができたのではと後悔することはありますが、これが最善というのは無いのではないでしょうか。
    その時、その時点で本人や家族に寄り添いながら、各自が専門職としての自覚を持ち対応することで、在宅医療が進むことを期待したい。自分自身も在宅医療の専門スタッフの一員になれるよう努力したい。
  3. 歯科医師
    患者の考え、想いと医療に関わる者の考えはイコールではないと思います。しかし、伝える事が大切だと毎日思っています。
    誰がどのタイミングで、しっかり伝えたかを確認しなければならないのです。
    最期はどんな形でも、残念ですし悲しいことです。皆、きっと自分の事を聞いて欲しいのでしょう。認めてほしいのでしょう。
  4. 薬剤師
    苦しむ人に「何かをしてあげる」ことは、独りよがりで押しつけになってしまう。「共に生きること」と心を通わせることが大切ではないか。「ただそばに来てくれるだけでいいのに」亡くなられた方の最後の言葉のひとつを見つけました。
    今まで生きてきた時間を感じ取る能力があれば、もっと共に生きて行けそうに感じます。
    あらゆる方向から1人の人を見つめる事の大切さ重要さを感じました。
    言葉にすることで不安を伝え、安心できるのが人なのかもしれないと感じました。
  5. 看護師
    癌でないケースでの終末期の症例を聞かせていただき、ありがとうございました。
    ALS病院以外で患者さんにお会いしたことがありません。
    在宅で呼吸器を使用せず過ごされ、最期を迎えられる方がいらっしゃったのは吃驚しました。
    本人が自然に何もしないでと希望される中、呼吸困難時はどうされたいか、段階ごとにインフォームドコンセントして選択していくことが本当に大切だと思いました。だから吸引も拒否されていたが、楽になることが理解できたため受入れられたと思います。自分も段階に応じて医者と相談しながらインフォームドコンセントしたいと思います。
    スピリチュアルケアはいつも悩むところです。患者さんとの関わりの中で言葉に対してもフィードバックできるよう改めてコミュニケーション技術の大切さを考えました。
  6. ヘルパー
    重度の方の支援に入らせて頂いて、「生きているのがもう嫌になってきた」とお言葉がありましたが、自分なりに冗談を交えたり、励ましたり、安心できるような会話をしています。それぞれ役割があるため医療的なことはできませんが、その人の想いを汲み取り安心して最期まで過ごして頂けるように支援していきたいと思います。
    利用者さんに「ありがとう」とお言葉を頂くと私たちも救われたように思います。
    スピリチュアルケアや精神面のお話が聞けて良かったです。
  7. 看護師
    段階をおってインフォームドコンセントしていく重要性を感じました。
  8. 保健師
    今日の様な経過報告もありがたいです。
    今回のケースの支援評価は、奥様の(グリーフケア時の)言葉が全てと思います。
    中橋先生が言われた、本人にとって楽になるための終末期を関係者がどう共有するか。最後の訪看さんの本人、家族の様子など伺い、今回も深いなと感じました。
  9. 看護師
    ALSの患者さん2名訪問させてもらっています。
    私たち看護師も未知への不安があるなか、症状や予後対応について資料で調べ、また勉強会に参加して受入れができた状況です。受入れができたからではなく不安な日々を過ごすことを解消し、不安なとき辛い時はいつでも相談してもよいですと伝えています。
    考え方、治療など今後の対応に役立てることができそうです。
  10. ヘルパー
    利用者にALSの方がいらして、今後の支援にいろんな話が聞けると思い参加しました。
  11. ケアマネ
    吉田先生が言われた、決めることが目的ではなく、その時、その時で選択した決定が最善の選択でプロセスを大事にすること。だから答えがないというお言葉に何か心が落ち着きました。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006