第62回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:八幡浜市保健福祉総合センター4階 会議室
  2. 日時:令和元年6月7日(金);午後7時~8時30分
  3. <症 例>
     (1)85歳 男性 認知症・廃用症候群・誤嚥性肺炎(在宅にて永眠)
     (2)91歳 女性 認知症・心不全・廃用症候群・誤嚥性肺炎(入院中)
     (3)88歳 女性 脳梗塞後遺症(左片麻痺)(入院中)
    <発表者>
      ①医師会コーディネータ¬ーより症例(1)の家族背景などについて
       八幡浜医師会:清水 建哉ケアマネージャーから
      ②主治医より症例(1)(2)(3)全例の病状経過について
       矢野脳神経外科:矢野 正仁医師から
      ③症例(1)の訪問看護の経過について
       訪問看護ステーションSetsuko:菊池 世津子看護師から
      ④症例(1)の口腔ケアの取り組み
       瀬尾歯科医院:谷本 芙美歯科衛生士から
    <症 例>
    PDFファイル「第62回八幡浜在宅緩和ケア症例検討会資料」
    PDFファイル「第62回緩和ケア検討会資料」

    <議論の要点>

  1. 「いのちの終わり」における意思決定の特殊性は、意思決定した行為や結果を本人が検証しえないという点。だからこそ信頼関係の構築がなにより重要。
  2. 患者さん本人のベスト・インタレスト(その人らしい生き方を模索すること)を考えるという態度は、医療コミュニケーションの本質。
  3. いのちの終わりに向き合う時こそ、その方の生きてきた道のり、過去について丁寧に教わる必要がある。その方の死生観や価値観を教わらずして、支援方法は見いだせない。
  4. とかく私たちは目の前のこと(今)にとらわれて、(過去)について知ろうとしない傾向がある。答えは全て、その方の生きてきたストーリーの中にあると思われ、貴重な人生の物語を、その方の言葉で教わることに、価値があるのではないか。
  5. 食べることができなくなった方への、口腔ケアについて。

<職種別参加者数>

合計  61名
医師 6名 社会福祉士 2名
歯科医師 1名 ケアマネ 19名
保健師 2名 介護 6名
薬剤師 6名 その他 1名
看護師 17名 事務 1名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 薬剤師
    家族関係図を確認する時に、亡くなった人に関しても確認し話を聞くことは、その人の人生における価値観を知ることとなり、すべての糸口となるのかもしれません。終末期に関わることとは、その人の人生をたどることから始めなければならない。短い関わりの中でいかに感じる事ができるか、自分に不安が出てきます。
    食べ物の経口摂取に関しては、これから勉強していきたいと思います。
    全てがその人の日常生活を知ることから始まるのでしょうが、これが難しいと痛感しました。
  2. ケアマネ
    QOLについて、今実際に関わっている方のことを考えました。本人の思いや希望に寄り添う援助をしたいと思いました。症例を聞いて、様々な専門職が関わり連携しながら、在宅の看取りを支えていると思いました。
    経口摂取についての考え方がとても参考になりました。
  3. ケアマネ
    口腔ケアの具体的な説明があり、とてもわかりやすく勉強になりました。
  4. 薬剤師
    非がんの看取りの話で、非常に勉強になりました。
    推測ではなく事実を知るという言葉が自分に突き刺さりました。
  5. 薬剤師
    切口の多さが多職種の勉強会の魅力だと感じました。
  6. 保健師
    回復の可能性があるにもかかわらず、治療やサービスを拒否する方の「意思決定」に対して、どう対応していくのか。その意思を尊重し、放置してしまうことは、倫理的に問題にならないのか。実際に関わったケースで悩んだことがあります。今日の事例のテーマとなった「意思決定」と「倫理」について、参加者で、もう少しフリーに話し合い議論ができれば有難いと思います。今でも自分の関わりをどう評価していいのか悩んでいます。
  7. ケアマネ
    命の管理、お金の管理を誰がどうしていくのか、今後大きな課題となってくると思います。
  8. ケアマネ
    経口摂取困難で意思決定ができず、家族の受入れも難しいケースはどうケアすれば良いのか、悩むところです。QOLを大事にして最善の方法を探ることが必要だと思います。
  9. ケアマネ
    訪問歯科診療の利用に関わったことがなかったので、どのようなことをしているのか知ることができ勉強になりました。
  10. 言語聴覚士
    退院時、食事についての指導を考える必要があると思いました。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006