第79回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和 3年2月5日(金);午後7時~8時30分

<発表者>
  座長は、門田医院;門田 正富 医師
  ①八幡浜在宅医療研究会の立ち上げの経緯について
   旭町内科クリニック:森岡 明 医師
   下記ダウンロードしてご参照ください。
PDF(八幡浜在宅医療研究会立ち上げ時呼び掛け文)
  ②地域医療におけるチームケア
   ~社会資源の少ない地域での在宅医療チームのあり方~
   愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻
   地域看護専門看護師:吉田 美由紀 看護師
   下記ダウンロードしてご参照ください。
PDF(社会資源の少ない地域での在宅医療チームのあり方)
  ③伊方町の現状報告
   伊方町包括支援センター:井上 操 所長

<議論の要点とコメント>
八幡浜在宅医療研究会の立ち上げ当時の経緯について説明し、社会資源の少ない地域での在宅医療チームの在り方について、伊方町の現状を交えながら多くの方に発言をいただきました。

<職種別参加者数>

合計  81名
医師 9名 社会福祉士 4名
歯科医師 1名 ケアマネ 22名
保健師 9名 介護 8名
薬剤師 9名 その他 1名
看護師 16名 事務 2名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 薬剤師
    三崎半島の実情が見えて良かったです。当店の患者さんも三崎半島からいらっしゃっている方がたくさんいるので、知ることができて良かったです。iPadの活用は、薬局でもオンライン服薬指導や調剤後のフォローアップで実施できたらと思います。オンライン診療は既に始まっているのでしょうか。薬局に対しては、どのようなニーズがあるのでしょうか。現在、かかりつけ登録のある三崎半島の患者さんが将来、在宅が必要になったときICT化は必要だと思っています。
  2. 薬剤師
    薬剤師として、サービス担当者会議、退院時カンファレンスなどに参加するためには、どのような専門知識を持っておいた方がよいか等、他の専門スタッフから見て教えてほしいです。なぜなら、そのような場所に参加する薬剤師は少ないのが現状なので、少しずつ改善していきたいです。
  3. ヘルパー
    現場に行く中、ヘルパーではできない事もあり、もどかしく思うことが多々あります。本日の内容から、今後、今以上に関係機関との情報共有を通し、もどかしく思うことがクリアできていけたらと思います。伊方町は高齢者が増え、介護者が少なく、限られた時間で利用者さんが望むことすべてはできない状態です。地域で支えていただき、助け合える地域になるとよいと感じました。
  4. 保健師
    チームケアの考え方、特にトランスディシプリナリーチームケアについて知ることができて良かったです。資源がないからできないではなく、とにかくやれることからやってみること、カンファレンスを積極的に開いてシームレス化することなど、とても参加になりました。
  5. 保健師
    チームケアの在り方について、目から鱗のようなお話が聞けて良かったです。ただ、この考え方について、チームのみんなで共通理解をしておかないと、できる(実現する)ものではないと思うので、こういった勉強の機会を持つことはとても重要だと感じています。積極的なカンファレンスが、シームレス化に有効とのことだったので、できるだけそういう機会を増やしていけたらと思います。
  6. 保健師
    トランスディシプリナリーチームケアという考え方に衝撃を受けました。この考え方をみんなが理解してチームケアが実施できるようになればいいなと思います。そのためには、愛南町の現状やチームケアの方法について、みんなが学習し、自分のこととして考える機会が必要だと思うので、出来ることを探してみようと思います。
  7. ケアマネ
    先生方をはじめ、医療職の皆様との連携の仕方について、多くのご意見を聞かせていただきありがとうございました。ケアマネジャーとして中立的な立場で連携をとらないといけないとはわかっていても、先生方の前に行くと緊張してうまく話ができなくなるのでどうにか克服したいと考えています。学生時代より福祉を専門的に学び、その後病院が母体の併設の介護保険施設にて勤務をさせていただきました。いろんな職場で勤務もしましたが、どの先生も連携がとりやすく話しやすく、いろいろと学ばせていただきました。愛媛に戻り、福祉職として仕事を再開したのもブランクがあり、また地方独自のルールや知らないことも多く、多くの医療機関の関係者の皆様にはご無礼な言動もあるかもしれません。先輩方からのお知恵を教えていただきながら、中立的な立場でかつ、スムーズに連携が取れるようにご支援できるようになりたいと思いました。
  8. ヘルパー
    以前は、セントケアも訪問介護で三崎に1日ケアができる日が数日ほど入っておりました。ところが、人材不足もあり、八幡浜への訪問すら困難な状況になり、泣く泣く三崎町をお断りすることになり、大変ご迷惑をおかけしたという経緯があります。本当に必要なケアをするという点で、伊方町は地域やインフォーマルなサービスを利用しながら、「どうすればご本人の望む生活が継続できるか」を考えていると思います。八幡浜市ではないのですが、「本当に必要なサービスなの?」という疑問に思うケアもあったりします。その点伊方町は、ある意味本当の介護保険の使い方をしているのかもしれないと思いました。そのためにも、多職種でのカンファレンスが必要で、「何ができるのか」をみんなが寄って考える場を作る必要があるのかと思います。その場が、オンラインであったり、なるべく負担なく気軽に楽しくできればと思います。その方のもつ能力を私たちが入ることによって、そがれてしまうことのないよう、しっかりと観察しながら関わることが私たちの役目だと思います。
  9. ケアマネ
    チームケア・チームアプローチの学習をし、伊方町の現状と課題を知っていただき、マイナス面に注目するのではなく、強みをいかしてチームで関わっていくことの大切さを再認識しました。会ではうまくコメントできなかったのですが、ニーズを解決するための社会資源が絶対的に足りておらず、代わりにケアマネが動き回ることが多々あります。それがその人の目標とする生活なのかわからなくなるのですが、目の前で起きていることは、待ったなしなので、動くことになります。会で言えなかったのですが、三崎地域の強みは、お医者さんとケアマネの距離が近いことです。医者から連絡いただくこともあり、相談しやすいので医療だけでなく、介護の面も相談させていただいています。ありがたいことです。
  10. ヘルパー
    利用者様、ご家族様の真のニーズを理解するために、各機関と定期的なカンファレンスや連絡を密にする必要性を感じました。
  11. ケアマネ
    一つの事例ではなく、地域や在宅ケアについて学ぶ機会をいただき、今後も定期的に、このような機会があれば嬉しいです。担当者が要支援の方ばかりなので、終末期に関わる状況はあまりわかりませんが、利用者や家族、サービス事業所と全体として情報を共有してチームとして支援していくことができるように動いていきたいと思います。
  12. 保健師
    在宅での緩和ケア、介護について、限られた資源の中でどう支援すべきか、どんな活用ができるのかについて考えることができました。
  13. ケアマネ
    社会資源が乏しい地区では、インフォーマルに頼らざるを得ない現状もある中、専門職側も人任せではなく「チーム」として関わることが在宅医療を継続するためには必要です。専門職が一丸となって「チームケア」の重要性を意識しながら、今後も多職種連携で機能していくことを願っています。
  14. ヘルパー
    今回は伊方町に関した話し合いでした。現状、伊方町の方は難しくなってきていると思います。これから人口も減ってきて、関係機関も減ってくると思います。訪問入浴でも地形的に過酷な所です。それでも僕たちは、どこへでも依頼があれば行きます。スタッフも気持ちよく行ってもらえるのが助かります。
  15. ヘルパー
    チームや組織を作るのは本当に難しいことと思います。個人の意見としては目的が大事かと感じました。多職種で関わるので色々な角度からの意見があるのが当たり前かと思います。共通の目的があれば自ずとチームとして機能できるのではないかと感じました。
  16. ケアマネ
    今回の検討会に参加して、シームレス化の意識がとても大切だと思いました。共通認識、民主的な議論、情報の共有をしっかりと行うためには、積極的なカンファレンス開催が必要なので、ケアマネとしてしっかりと対応していきたいと思います。また伊方町の情報を聞いた際、訪問入浴スタッフとして対応していたことを思いながら、デイサービスを利用することも困難な家も数多くあって、在宅医療を行うことの大変さを感じました。
  17. 看護師
    社会資源の少ない地域で、継ぎ目のない在宅医療チームを作るための問題や今後の目的を考え、学習する機会をありがとうございました。現実、医療資源がないため、あらゆるケースや最初からできない事に対して我慢して生活する地域性について、自分達に何ができるのだろうと思いました。今回の学習で二つの自身の目標として、シームレスな関係で、職種に関係なく対応するために、カンファレンスを行うことで何ができるかを発見すること。もう一つは、人に対して興味を持つこと、自分、家族の能力をどこまで発揮させられるか、どこまでその状況を見守り、入りすぎないかを考えることです。伊方地区の地域性等を知り、今後も地域の人を巻き込むことができるチームケアがとれるよう頑張っていきたいと思います。
  18. 看護師
    伊方方面の方へのサービス利用する際は、頭を悩ませていました。今回、伊方町の状況を説明いただき、八西地域の医療関係者の方も再認識できたと思います。「できない」ではなく「何ができること、どうしたらサービス提供につながるか」皆さんと協力、連携して自分らしく過ごせるよう支援していきたいと思います。
  19. 看護師
    診療所の看護師の役割は、医師の診療補助だけだったのが、地域包括ケアや在宅医療の推進などで役割が大きく変化してきていると感じつつ、どうすれば良いのか分からないでいました。「職種の隔たりなく、他職種から学ぶことで互いの専門性を理解し、情報を共有することで、利用者のニーズを図る」そのためには、会う機会、話す機会、知る機会を作ることがとても大切なことを改めて学ぶことができ、今後に生かしたいと思います。
  20. 医師
    きょうの吉田さんのチーム医療の形態について少し自分なりにまとめてみました。
    チームアプローチの形態としては、次の3つがあります。
    Multidisciplinary Team Model(多職種チームモデル)
    Interdisciplinary Team Model(相互関係チームモデル)
    Transdisciplinary Team Model(相互乗り入れチームモデル)
    (1)Multidisciplinary Team Model(多職種チームモデル)
    総合病院における各科の関係のようなものです。
    医師と他職種との間で情報交換や協調を行うが、他職種との議論は最小限で、主治医の責任が明確であり、運営は効率的です。他職種間の横の意見交換が少ないのが特徴。
    (2)Interdisciplinary Team Model(相互関係チームモデル)
    通常のリハビリテーションチームなどに見られるチーム形態です。
    職種間で定期的な意思疎通が行われる。ただし、医療者の個々の役割・機能は決まっています。患者さんの状態にあわせて、対応する職種が決まります。
    (3)Transdisciplinary Team Model(相互乗り入れチームモデル)
    意見交換ばかりでなく、多職種間の相互乗り入れで治療を行います。
    患者さんの必要性がまず存在し(目標指向性) 、その必要性をそこに存在する医療者で区分して担当します。医療者は状況に応じて役割が変動し、包括的治療を行う場合に有効と言われています。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

PDFを見る

県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006