第95回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和4年6月3日(金);午後7時~8時30分

<症 例>
  70歳代後半 女性
<傷病名>
  胆のう癌、胆のう結石症、肝浸潤、リンパ節転移、総胆管・右肝動脈浸潤、肺転移、多発骨転移、術後周囲の皮膚転移
<発表者>
  座長は、中野医院; 中野 憲仁 医師
  ①家族状況などの説明
   八幡浜医師会居宅介護支援事業所
    清水 建哉 コーディネーター
  ②症例発表
   旭町内科クリニック 院長 森岡 明 医師
  ③訪問看護の経過について
   セントケア訪問看護ステーション
    所長 松平 直美 看護
  ④ケアマネージャーからの報告
   おるde新町居宅介護支援事業所
    大本 育弘 ケアマネージャー
<症 例>
報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください
第95回八幡浜在宅緩和ケア症例検討会資料

<議論の要点とコメント>

●主たる介護者である家族の意向が前面に立ち、ご本人の希望が不明なまま経過する事例について、どのような関わりが望ましいか。

<職種別参加者数>

合計  58名
医師 8名 社会福祉士 3名
歯科医師 2名 ケアマネ 9名
保健師 4名 介護 3名
薬剤師 5名 その他 2名
看護師 21名 事務 1名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 看護師
    当院入院中や外来では、まったく情報収集ができておらず、患者さんやご家族の思いに寄り添った関わりができていないことを痛感しています。
  2. 看護師
    ご家族の思いも大切ですが、ご本人がどうしたいのか、どのようにしてもらいたいのかという思いを引き出して、それに対して関わるスタッフが同じ方向に向かってのケアが大切だということが学べました。
    長く生きて食べてほしいと思う家族の思いと、緩和ケアでの内容の相反するところにどうしたらいいのか難しいことだと思いました。
  3. 保健師
    家族の想い、言動の背景にあるこれまでの経験、価値観に思いをはせることの大切さを感じました。「私たちに何ができるだろう」ではなく「◯◯さんは、どうしたいと思うだろう」と本人さんの想いに焦点をあてることを意識したいと思いました。
  4. ケアマネ
    長女さんのお母さんに対する想いや、長女としての責任感を感じた事例でした。
    吉田さんや太田さんの話を聞き、家族や本人の歴史、今の想いを持つようになった経緯を知ることは大切なのだなと思いました。利用者本人の状態が悪くなってからは、直接的な支援や介助が中心になって、なかなか本人や家族の想いを聞くことが難しくなるので、話ができる間に意識をもって話を聞くようにしたいと思いました。
  5. 薬剤師
    今回の症例は、性格的にも、在宅が開始となった時の患者さんの体力的にも、本人の話を聞くのが難しかったこと、長女さんがお母さんに対してしてあげたいことの気持ちが強かったので、ほとんど娘さんによる意志決定がされた症例だったと思います。「自分たちに何ができるか」ということを医療者側や患者家族も考えることは大切で、そのことが思いのこもった行動へ繋がると思いますが、その際に患者本人の気持ちを置いてきぼりにしないようにしたいと考えさせられました。
  6. ケアマネ
    今回の症例検討会の内容はご家族の意向がとても強く、その思いをどのように接したら良いかご苦労されたケースだと感じました。「少しでも長く生きてほしい。」という思いに共感する思いも有りますが、ご本人は本当に同じ思いだったのか、考えさせられる問題でした。余生や緩和ケアに対してのヒアリングはどこまでご本人、ご家族が受け入れるか、説明する際の状況等タイミングはとても難しく思いました。緩和ケアの意味が分かった際のショックや切り替えはとても深いものだと思いました。
    家族の関係性や家族内のピラミット等把握しながら皆さんが納得した支援となりようケアマネとしてしっかり調整していきたいと思いました。
  7. 介護士
    家族間の絆が深い看取りのケースで、「医療で一日でも長く生き続けること」と、「症状を緩和し、穏やかな状態を維持すること」とが必ずしも一致しないということを伝えることの難しさが現実的で印象に残りました。母を愛していた長女様からすると、一日でも長く生きて欲しいという気持ちは理解できます。
    しかし、現実的場面での状況と看取りを多く経験した視点からのアドバイスは、ご家族様にお話しても聞き入れられないことも多くあり、結果ご家族様が無理をしたことで誤嚥性肺炎を起こしてしまうということも起こりましたが、その行為も母への想いが優先して起きたことで、そこの部分も理解し傾聴することも看取りケアに含まれると感じました。
    看取りケアはご本人様、ご家族様を含めて関わっていくひとつひとつのプロセスが大切で、ご家族様ごとに価値観が違うように看取りケアも必ず同じプロセスではないことを再認識しました。
    行錯誤を繰り返しながらご家族様と関りを深めることで、最後に悔いなく最期までやりきれたかを私達が常に考える看取りケアに努めていきたいと思いました。
  8. 看護師
    皆さんの意見を聞いて、家族にできること(思い)、私達看護する側にできること、それぞれの立場になって考え関わっていくことの重要性を再認識しました。
  9. 鍼灸師
    今回のケースにおいて長女さんの発言が多く取り上げられていました。
    旦那さん及び次女・三女の方も長女さんの意向に賛同している様な報告でしたが、当事者本人の感じ方・受け止め方、考え方などが不明のままのように感じました。当事者本私も終末期の方に関わっていますが、最後に太田様がおっしゃっていたように、相手を知った分だけ関わり方も寄り添い方も変わると考えて関わっています。私も終末期の方に関わっていますが、最後に太田様がおっしゃっていたように、相手を知った分だけ関わり方も寄り添い方も変わると考えて関わっています。
  10. 医師
    在宅医療と病院医療(特に急性期)の違いは、急性期医療がキュアを目指すこと、在宅医療は生活支援を含めたケアを目指すこと、の意味を問いかける症例でした。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006