- 場所:WEB会議
- 日時:令和4年7月1日(金);午後7時~8時30分
<症 例>
70歳代後半 女性
<傷病名>
腎癌、転移性肺癌、貧血、低血糖(副腎不全の疑い)
<発表者>
座長は、旭町内科クリニック; 森岡 明 医師
①家族状況などの説明
八幡浜医師会居宅介護支援事業所
清水 建哉 コーディネーター
②症例発表
医療法人 福寿会 宇都宮病院
副院長 大田 康詞 医師
<症 例>
報告内容;PDFファイルをダウンロードしてご参照ください
第96回八幡浜在宅緩和ケア症例検討会資料
<議論の要点とコメント>
●今回は、病院での緩和ケア、看取り症例について学びました。認知症合併がん症例で、それぞれの病態に即した対応について別の角度からの学びになりました。
<職種別参加者数>
医師 | 8名 | 社会福祉士 | 3名 |
---|---|---|---|
歯科医師 | 2名 | ケアマネ | 11名 |
保健師 | 5名 | 介護 | 1名 |
薬剤師 | 3名 | その他 | 1名 |
看護師 | 16名 | 事務 | 1名 |
- 看護師
認知機能の低下している患者様は、痛みを痛みと訴えることができず、不穏などとして表れることがあるとういうことがとても勉強になりました。「不眠がある=眠剤」ではなく、原因を考えて苦痛など不都合を取り除くことが大事だということに今後気を付けていきたいと思いました。 - ケアマネ
今回の症例は、在宅ではなく病院で最期を迎えられた事例ということで、病院という医療面では整った中で入院生活を送ることは安心ではありますが、終末期となると御本人の気持ち的なところでは寂しさと不安でいっぱいだったのではと思います。それでも、大田先生をはじめ病棟のNSさんやスタッフの方々が、御本人の気持ちに寄り添いながら支援されたからこそ、御本人は強い帰宅願望を持つことなく安らかに最期を迎えられたのだと思いました。 - 薬剤師
今回は自宅ではなく病院で最期を過ごされた方で、普段は自宅での在宅に関することがほとんどなので、病院でどのような治療、ケアを行い、最期を迎えられたのか知ることができて勉強になりました。 - 看護師
本人は「帰りたい」、家族は「心配だから病院で」と希望が一致しない場合、こちらを立てればことらが立たずとバランスが難しいと思います。治療としても点滴をする、しない、どこまでやるかと周りでははっきりさせようとしますが、その都度、話、また痛みの度合いを正確に知ることが、難しく痛みの訴えのみを痛みとして捉えるのではなく、不穏になったりすることもあると勉強になりました。 - 保健師
今回は病院看取りの症例でしたが、いつもとは違う視点で報告を聞かせて頂きました。在宅看取りが最善ではなく、ご本人やご家族がどう考えられ、何を求められているか、環境的な要因も含めて、早い時期からタイミングをつかみながら支援していくことが大事だと思いました。 - 作業療法士
患者様の今までの人生や人柄・性格などを把握し、ご本人とご家族様の希望を聞きながら、自分であればどういった声かけをして、方向性をどこに持っていくのか、とても考えさせられ、とても勉強になりました。 - 保健師
家族に対する緩和ケア教育の大切さと普及啓発に今後、更なる力を入れていく必要性を感じました。
認知症やせん妄のある方の痛みのケアにおいて、不穏だからと精神薬を投与するのではなく、痛みが上手く表出できない場合もあると考えるケアの仕方が勉強になりました。
毎回のテーマですが、ご本人の意向と家族の意向の狭間で、意思決定支援をすることの難しさや、一つの世帯を単位にとしてまるごと支援することの大切さを感じました。
独居の方の在宅での看取りを支えたケアマネさんは複数おられると思うので、今後の症例検討の事例に取り上げていただき事例から学ばせていただきたいと思います。 - ケアマネ
認知症の方は痛みを訴えられないことも多く、それが不穏につながっていることがあるかもしれないということをお聞きし、その感情面の変化を理解することが、痛みや不安を軽減できる可能性もあることを理解しました。
今回、病院での看取りという形でしたが、私の担当している方も病院で看取っていただきました。在宅ではどうしても難しいこともある中で、そのように実践されている病院があることを改めて感じ、心強く感じました。 - 介護士
認知症状が出現したタイミングは入院前からその気配はあったのかもわかりません。一方で、病院で療養すると、管理されるという雰囲気から精神的不穏な状態はでてくることもあるかと思います。
また、院内での感染症対策やコロナ対応で面会が制限されたことで、ご本人様の精神的影響も大きかったと思います。またご家族に医療関係者がおられたことで、キーパーソンの長女様の精神的負担もあったと思います。
ご本人様のバイタル測定時に「もうやめろや!」との発言は、いろいろな要因が重なってでた言葉で、認知症や病状だからではなく、ご本人様の置かれている環境や状態をよく見て感じなければならないと感じました。
認知症状が進行していき、ご本人様の自己決定が難しい状況だったと思いますが、どれだけご本人様の意志決定を大切にするか、ご家族様の意志が優先しがちになるなか、ご本人様が最期を家で迎えたいという想いを実現できるフォーマル、インフォーマル、地域の体制づくりの必要性も考えさせられました。
しかし、家族様が最後はお母様の前に揃うことができたことは家族愛を感じました。 - 医師
ひと口に病院で看とるといっても状況はさまざまであろうと思います。一人ひとり同じ看取りではないので、あまりパターン化するのも良くないと思いますが、疾患カテゴリーで大きく分けると①悪性腫瘍の終末期、②臓器不全の終末期、③認知症の終末期に分けられると思います。これらの看取りはその経過が特徴的で、「病の軌跡」に示されるような経過をたどることがよく知られています。在宅でも重なる部分はあるのですが、特に病院での特徴を踏まえてそれぞれの病態の特徴を確認して行く必要があります。そういった意味で今回の症例は、認知症に発症したがん症例で、病院での病態変化の特徴を、大田先生が上手に捉えて、最後まで患者さんに寄り添った看取りができたのだと思います。今回の事例検討会は別の視点からたいへん勉強になりました。大田先生、ありがとうございました。
<アンケートから>
以下に参加者からのメッセージをまとめました。