第104回 八幡浜在宅緩和ケア症例検討会

  1. 場所:WEB会議
  2. 日時:令和5年4月7日(金);午後7時~8時30分

  〇開会あいさつ
   八幡浜医師会会長
    芝田 宗生 医師
  〇座 長
   中野医院
    中野 憲仁 医師
<症 例>
  50歳代後半 男性
<傷病名>
  食道癌、両側食道気管瘻、十二指腸潰瘍穿孔術後、COVID-19感染後
<発表者>
  ①家族状況などの説明;
   八幡浜医師会居宅介護支援事業所
    清水 建哉 コーディネーター
  ②旭町内科クリニック
   森岡 明 医師
  ③八幡浜医師会訪問看護ステーション
   坂本 恵美子 看護師
<症 例>
報告内容
第104回八幡浜在宅緩和ケア症例検討会資料

<議論の要点とコメント>

●自宅に戻られたときは、留置されたCVポートからの高カロリー輸液継続投与、持続モルヒネ皮下注射などの処置が続行中の状態だった。かかわるスタッフの処置方法などを含めたその後の連携方針を細かく共有することが求められた。

●海外の遺族調査では、家族の考える望ましい死の要因として、「死が差し迫っていても平穏である」「死が差し迫っていることを家族に説明されている」「家族がお別れをいえる」「患者が人として肯定されている」「個別性のあるケア」「家族に対する支持的ケア」が重要な要素だった。この結果から家族(遺族)に対するグリーフ(悲嘆)ケアは、実は看取りの前(臨終前)から始まっており、この視点から訪問看護、訪問介護の果たす役割は大きい。

<職種別参加者数>

合計  54名
医師 5名 社会福祉士 2名
歯科医師 0名 ケアマネ 8名
保健師 2名 介護 5名
薬剤師 6名 その他 3名
看護師 23名 事務 0名

    <アンケートから>
    以下に参加者からのメッセージをまとめました。

  1. 薬剤師
    ターミナルケアの疼痛コントロールについて勉強になりました。
    がん患者さんとお話する機会がほとんどない薬局ですが、患者さんを苦しみから救う手助けができるように励んでいきます。
  2. 医療機器販売職
    シリンジポンプのレンタル概要を皆様の前で発表できて良かったです。もしポンプが必要な時には是非ともお声かけ頂ければ幸いです。
  3. ケアマネ
    こんなに短期間でも、的確でスピーディーな支援が行えたこと、とても素晴らしいと思いました。また、皆さんの動きで、若い娘さんがこの八幡浜の地でいつか在宅医療にかかわりたいと思ってもらえるようなお手本を作られたことにもとても感動しました。
  4. 看護師
    麻薬を使う時の注意点等勉強になりました。
    最期まで自分らしさを持つことができるような支援に共感しました。
  5. 薬剤師
    病院ではレスキュー投与、フラッシュしたい場合は看護師を呼ばないといけないが、在宅では自分で行えるということを初めて知りました。
  6. 看護師
    「痛みコントロールを明日までに0~2/10にしましょう」と具体的に利用者さんと話せたのが良かったと思います。
    自宅に帰り痛みが緩和し、法事や仕事など人間らしい生活ができたと思います。
    吉田さんのコメントで「痛いから生きていると実感する人もいる」との考え方もあるのだと納得しました。病気を抱えている人それぞれの思いに寄り添いたいです。
  7. 看護師
    疼痛コントロールの難しさを実感しました。利用者様の求めるケアを見抜けるように日々頑張りたいと思います。
  8. 看護師
    痛みのコントロールの難しさや薬変更のタイミングをどのようにすればよいか、日々悩みながら利用者さんと関わっています。利用者さんの本音を引き出せるように話しやすい環境がつくれるよう日々頑張ってみたいと思います。
  9. 看護師
    多職種連携の重要性を日々感じています。初回カンファレンス時には、医師、看護師、薬剤師、介護士、ケアマネなど全職種が参加することで利用者、家族の最善の関わり方が考えられると思います。システム作りをする必要があると思います。
  10. 看護師
    疼痛の緩和という観点から様々な考え方、経過について深く学べました。
    多職種連携、利用者、家族の気持ちへの気付き、信頼関係の構築などがより重要だと感じました。
  11. ケアマネ
    緩和ケアにおいては、何よりご本人・ご家族にとって安心感が大切で、今回の事例では痛みをとることだったのかもしれません。私たちは、ご本人の痛みをとってあげることも大切ですが、思いに寄り添っていくことも求められます。痛みが減ることで、意欲や発言、そして生活が変わる可能性があることを聞かせてもらいました。しかし、実際は、支援者側の思いとご本人、ご家族の思いにずれがあることもあります。こちらの思いを無理に押し付けるのではなく、少しずつでも理解してもらうために何ができるか、短い期間になるとは思いますが、しっかり向き合っていく必要があることを学びました。また、こちら側が伝える際には、相手方のコンディションをしっかり理解してから伝えていかないといけないことも大変勉強になりました。
  12. ケアマネ
    今回の症例検討会に参加ささして頂き、疼痛コントロールの説明、機材の説明を受け、適切な管理、使用する事によりご本人の苦痛の軽減、ご家族、NS等の負担、不安の軽減になると感じました。規定、法律上保管が難しいとの事でしたので今後対象となりえるお客様がおられた際は、医師会訪問看護ステーションにご相談したいと思います。
  13. 介護士
    主治医、かかりつけ医は在宅での情報が十分でないので、訪問看護、訪問介護の訪問系によるお客様、ご家族様の細かい情報や身体的、精神的、環境変化の細かい情報の共有に努めていきたい。特にサービス開始から最期の看取りまでの期間が短いお客様、ご家族様の情報が十分にわからないことで対応が遅れる場合があると感じます。
    お客様・ご家族様とのコミュニケーションは勿論のこと、最後までお客様自身の「こだわり」「強さ」を促す必要性を感じました。
    残されたご家族の役割、形(夫の仕事)として残されたものをどのように引き継いでいくのか、そのことについての相談・アドバイスの必要性を感じました。
    お客様の残された期間を想定した最後の家族愛の構築がされ、今回は息子様の結婚式を早めにする対応でした。結果間に合いませんでしたが家族愛を感じてもらいながら最期を迎えることも看取りケアのひとつのように感じました。
  14. 医師
    死が差し迫ってから在宅医療の導入となった本事例では、かかわる時間が短く、十分に家族への支持的ケアが重要と思われますが、この視点で坂本さんをはじめ八幡浜医師会訪問看護ステーションの果たした役割はとても大きく、家族の安心につながったと思います。

愛媛県在宅緩和ケア推進協議会

「えひめ在宅緩和ケア」

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県内の在宅緩和ケアの現状やモデル事業の取り組みを、愛媛新聞に掲載されました。
許可をいただきPDFを掲載しました。ぜひご覧ください。
2019年1月7日~22日 愛媛新聞掲載

掲載許可番号
d20190822-006