第2に「フリーアクセス」という言葉の誤解であります。フリーアクセスとは本来、「患者さんが金銭的バリア(貧困など)により受療できない事態を防ぎ、患者家計の経済力によらず、出来る限りニーズに応じて医療システムを利用できる」ことを意味していたはずです。ところがいつのまにか、「どの医療機関にも患者の選択で直接受診できる」という異なった理解を容認してしまった結果、大病院指向で3時間待ち3分診療が常態化して、急性期病院の医師の疲弊につながりました。

第3に、慢性期医療と「終の棲家」型居住サービスが未分化の状態が続き、かつ後者の絶対数が不足しているということです。

第4に、たびたび申してきましたが、団塊の世代の高齢者化による医療費上昇は避けて通れません。

第5に医療に対する資本投入財源不足が挙げられます。これについては、私たちがとやかく言っても解決できるものではなく、今後の政府の政策如何にかかわっています。

いずれにしても重要なことは、これまで一律的に、医療提供サイドで組まれてきた、医療計画を見直す時期に来ているのではないでしょうか。

これは、平成18年改正の医療法にも盛り込まれており、これまで(従来の医療法)、地域の医療機関が担える機能に関係なく、結果として大病院を重視することとなる階層型構造を念頭に構想されてきました(図7)。