さらに、クリニックでは認知症ケアというような問題にも取り組んでいますが、「明日はわが身」と考えれば、そこでは人生観察モデルということの大切さを身にしみて感じています。

これらのモデルの目標は患者さんの自己決定によってその人の人生を完結させることであり、私達が対象とするのは病気だけでなく、また日常生活動作だけでもなく、その方の生活史あるいは人生観といったものを重視した医療でなければならないと考えております。

まさにこのことが、これからの家庭医に求められる能力ではないでしょうか。

また、方法は、疾患の検査・治療をする、あるいは生活をアセスメントするばかりではなく、直感的に相手の問題を考える、傾聴して想像力を働かせる、そうした取り組みが大切だと思います。

このような視点を持ちながら、もう一度私達プライマリーヘルスケアを担う医療人が、冒頭に述べました疾病構造の変化から望まれる3つの医療分野をまとめましたのが(図14)です。