[2]地域で果たす今後の家庭医の役割

(図11)は、患者さんの受療行動を調べたWhiteらの古典的な研究であります。成人1000人を1ヶ月間追いかけてみると、その間に何らかの体調不良を訴える人が750人。しかし、そのうち医療機関を訪れる人は250人にすぎませんでした。

その他の人は、経過観察をするなり、民間療法に頼る等、いずれにしても医療機関を訪れていません。

医療機関を訪れる人の中でも、入院を要する人は9人で、その中でも大学病院に紹介になる人は1人でした。

日本でも同様の調査を藤内先生がしていますが、結果は同じ状況を示しています。

また、2000年に、報告されたGreenらの研究でも同様でした。この結果から、日常的に起きている症状をいかにケアするか、医療機関にかからない人たちがどのようにセルフケアをしていくべきか、ということがプライマリケアの重要な対象になるのではないでしょうか。また家庭医の仕事の一つの領域だと考えています。