脳・心血管障害の予防ということから生活習慣病、長寿に伴い認知症高齢者のますますの増加が推定されていますが、医療人の理解は極めて不十分であります。がんについては急性期治療が終了すれば在宅へという流れが今後ますます強化されることが予想されます。

先ほども少し触れましたが、北欧と比べて日本の総ベッド数は約9倍近くあり、北欧では、治療を受けるために、病院の近くのホテルに長期宿泊して通院という光景もみられます。そして、ベッドを持たない診療所での経験から慢性病で急性増悪しても在宅で診療できるケースは経験上けっこう多い印象です。

そう考えていきますと、これからは自宅が医療の場としての資源になると思います。(図17)は、仙台市内で看取りまで含めた在宅医療を実践されている診療所のネットワーク図です。在宅患者さんを中心にして、多くの医療・保健・介護職のスタッフがチームとして機能していることが伺えます。これまでのお話の中で、これからの家庭医の役割は、病気を治すのはもちろんですが、健康をつくることにも、より力を注がなければならないと思います。

そして、病院中心よりも家族・地域を基盤にした医療を展開しなければならないのではないでしょうか。なによりも専門家が中心になる医療ではなく、市民が中心になる医療というものを考えていかなければならないと思います。